あなたを生かす聖書の言葉

2023年10月1日(投稿)

今週の聖句    ヨブ記36

「まことに神は偉大、神を知ることはできず/その齢を数えることもできない。」

(ヨブ記36:26) 

多くのキリスト者に読まれている本の一つに、C.S.ルイスの『悪魔の手紙』があります。悪魔のスクルーテイプが自分の弟子に、ある青年の信仰を翻意させるための手段を教えるという内容です。スクルーテイプは弟子に言います。「人の心が貧しくなった瞬間、「俺は謙遜になったぞ」という自己満足を忍び込ませるがよい。すると高慢が――己の謙遜さに対する高ぶりが、すぐ表れてくる。彼が危険に気づいてその新しいプライドを抑え込もうとしたら、今度はその努力を誇るように仕向けるがよい。」

この言葉のように、人の高慢、高ぶりはどこからでも生じてくるのです。エリフは、ヨブ記3537章でもヨブを説諭する言葉を語りますが、それも要するに、自分たちは神より小さい、対等では決してない、ということを言っています。上記に記した言葉もそのことを告げています。神の年齢を知る者はいません。と言うか、神に年齢などありません。その超越者なる神と対等に論じ合うことができると思っていたことに、ヨブの高ぶりがあったのです。しかし、ヨブを諫めているエリフの言葉のはしはしにも、自分が勝っているとする誇りの悪臭がプンプンしています。

「その名声が、たとえ死に結びついていようとも、人はこれを愛してやまない」という趣旨のことを語ったのはパスカルでしたが、人は本当に些細な事でも、自分を誇ろうとするのです。高ぶりから抜け出すことができる人はいません。その誇りと決別することができる道があるとすれば、それは、十字架の主を仰ぐときです。独り子なる神が、私たちの罪の贖いのために十字架の低きにまで降り給うたことを覚えるとき、私は何者でもないことを知らされます。繰り返し、十字架の主を仰ぎつつ、信仰生活を送りたいものです。

京都大宮教会 牧師 渡邉宣一

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