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ヨブの友人のひとり、ツォファルは「神に逆らう者の喜びは、はかなく/神を無視する者の楽しみは、つかの間にすぎない」(ヨブ20:5)と言って、ヨブを諫めました。ヨブに、はかない喜び、つかの間の楽しみしかないのは、あなたが神に逆らっているからであり、神を無視した生活をしているからだということです。このようなことは、今でも言われます。例えば、いろいろな宗教が人々を勧誘するときなどです。あなたに不幸が続くのは、わたしたちの宗教（神）を信じないからだ、わたしたちの教えにあるように先祖を敬っていないからだ、そのように語って、自分たちの信仰に入るように勧めるのです。
しかし、ヨブは答えます。「なぜ、神に逆らう者が生き永らえ/年を重ねてなお、力を増し加えるのか」（21:7）と。神に逆らう者の喜びははかないと言うが、実際に神に逆らっている者が生き永らえ、繁栄しているという現実があるではないか、だから、あなたがたが言っていることは欺きにすぎないということでしょう。
わたしたちは、お互いに自分の目に見える所に基づいて物事を判断し、意見を言い合います。しかし、お互いが自分の置かれている現実に立つ限り、何の解決も生まれないことが多いのです。そもそも、だれしもが事の一面しか見ていませんので、自分の主張が正しいとは断定できず、むしろ欺いていることも少なくないのです。必要なことは、「神の考えたまう如くに考えること」（バルト）であります。今、自分がどのような現実にあろうとも、そのわたしを主が恵みをもって支配し、このわたしを通して主が御自身の御栄をあらわそうとしてくださっていることを信じ抜くことです。そこでこそ、わたしたちは健やかな思いをもって歩むことが出来るのです。
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