あなたを生かす聖書の言葉

2023年5月14日(投稿)

今週の聖句    ヨブ記7

「わたしは海の怪物なのか竜なのか/わたしに対して見張りを置かれるとは。」

(ヨブ記7:12) 

 

記の言葉に出てくる「海の怪物」とか「竜」とは、3:8に出てくるレビヤタンと同様の存在を現しています。それは、人々を混乱に陥れ、罪の深淵に引きずり込む働きをするので、人々から厭われ呪われていた存在です。ヨブは、神は自分のことをそのような悪しき者の代表のように考えているのか、だから四六時中自分を監視下に置くのか(1721節も参照)、と訴えているのです。

しかし、自分は悪のボスでも権化でもない、むしろ、風が吹けば吹き飛ぶような命を持つ者でしかない(7節参照)、そのような空しく小さなものでしかないのに、これほどまでの苦難の内に置くのはどうしてなのか、と激しく抗議しているのです。

ここでヨブは、神への不信を表明しているのではありません。神への信頼を確かにしたいのです。ヤコブがペヌエルで神と格闘したとき、祝福を求めて離さなかったように(創世記3223以下)、彼も神信仰を深め、救いの確信を得たいのです。抗議にも似た激しさをもって神に肉迫し、祈り求めることも、信仰生活のひとつのあり方です。

「神とわたしたちとの間隔は一歩」であると言った人がいます。わたしたちにとって一番遠いのは主なる神であるが、一番近いのも主であるのです。実は、主はわたしたちの背後に立ち給うのです。振り向けばそこに居ますのです。それほど近くに居られます。間隔は一歩しかないほど近いのです。しかし、わたしたちは、しばしば自分の目の前にある苦難や困難に御目を向け、それにだけ心も寄せてしまうのです。そこでは、背後にいます主は見えません。必要なのは振り向いて方向転換することです。振り向いて、一歩の距離にいます主に肉迫するのです。その方向転換が、信仰生活には必要なのです。

京都大宮教会 牧師 渡邉宣一

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