クセルクセス王の家臣で最も高い地位にあったのはハマンでした。人々は皆、ハマンに会うとひざまずいて敬礼しました。しかし、モルデカイは主成神だけを礼拝していましたので、ハマンに対してひざまずき敬礼することはしませんでした。ハマンはそれに腹を立て、モルデカイだけでなくユダヤ人全部を滅ぼすための勅令を出すよう、王に進言しました。王はハマンの進言を認めました。それで激しいユダヤ人迫害が起こるのです。「ユダヤ人は老若男女を問わず、一人残らず滅ぼされ…た」(3:13)とあるのは誇張でしょうが、激しい迫害を受けたことは確かでしょう。
モルデカイはその事態を嘆き悲しみます。そして、エステルに、クセルクセス王に勅令を廃止するよう頼んでほしい、と依頼します。しかし、王妃と言えども、王の指名なしには王の前に出ることができない事情を伝えます。そのときにモルデカイがエステルに語った言葉が、上記聖句です。
このことは、二つの大事なことを示しています。一つは、「他のところから」というのは「主から」と訳すこともできると言われていることからも分かるように、主なる神はわたしたちがどれほど困窮することになったとしても、なお生きて働き給うてくださっていることに信頼することです。もう一つは、エステルが王妃になったのは、この時の(困窮の中にある同胞を助ける働きをする)ために、予め主なる神が備えてくださったことだということへの信仰です。つまり、彼女が王妃に選ばれたのは、偶然ではなく御手の働きによっていたのです。そのような神の摂理の御手の内に、誰であれ置かれているのです。そのことを覚えて、誰もが、その主の御栄のために仕えるのです。
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