あなたを生かす聖書の言葉

2023年3月12日(投稿)

今週の聖句    エステル記2

「王はどの女にもましてエステルを愛し…た。王は彼女の頭に王妃の冠を置き、ワシュティに代わる王妃とした。」

(エステル記2:17) 

エステル記には「神」という字も「主」という字も、一度も出てきません。それもあって、マルチン・ルターは、「わたしは本書が存在しなかった方が良かったと思う」と語りました。しかし、この文書は、隠された仕方で働き給う神を証ししている、とみることもできるのです。その意味で、エステル記もまた正典として読んでいきたいのです。

エステル記の時代背景はペルシャ時代です。ペルシャ王キュロスによって、イスラエルの民はバビロン捕囚から解放されたのですが、この時、王は代わっていてクセルクセスでした。その王妃はワシュティでしたが、彼女は王の命令を聞かなかったため、王妃の座を追われます(1章参照)。

新しい王妃を選ぶことになり、全国各州に特使を送り、美しいおとめを一人残らず後宮に集め、そのなかで王の御目に適った者がいれば王妃にするということになります。そのようにして集められたものの中にエステルがいました。彼女はモルデカイの従兄妹ですが、モルデカイは養父として彼女を育てていました。ただ、ユダヤ人であることを公表すると嫌がらせを受けかねないので(実際、3章以下にユダヤ人虐殺の話が出ます)、隠すことにしました。彼女は、上記聖句にあるように、クセルクセスの厚意と愛を受けることになり、王妃に選ばれたのです。

京都大宮教会 牧師 渡邉宣一

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