歴代誌下28章は、ユダの王アハズに言及しています。彼はバアルのために像を造り、ベンヒンノムの谷では幼児犠牲を献げ、更に「聖なる高台、丘の上、…茂った木の下でいけにえをささげ、香を」(4節)焚きました。これらはどれも偶像礼拝です。今迄の王とは違って、彼ほど「主の目にかなう正しいことを行わなかった」(1節)王はいなかったのです。
シリアとエフライム(北イスラエル)が一団となってユダを攻めてきたときのことです。いわゆる、シリア・エフライム戦争です。そのとき預言者イザヤは、ユダの王アハズに向かって「落ち着いて、静かにしていなさい。恐れることはない」(イザヤ7:4)と勧めます。しかし彼はそれに聞かず、あろうことかアッシリアに援軍を頼みますが、何の役にも立ちませんでした(16節以下)。御心に反していたからです。シリア、エフライム軍が圧倒的勝利を治めます(5∼8節参照)。
沢山の戦利品をもってサマリアに引き上げるシリア・エフライム軍に預言者オデトが現れ、捕虜等は元々は主のものであるから放免するように、そうでないと罪を重ねることになると進言します。それを聞いた彼らは捕虜を解放します。ただ解放しただけではなく、丁重なる配慮をもって捕虜に関わった上で、解放しました(15∼19節)。とりわけ冒頭の15節の言葉は良きサマリア人の譬を彷彿とさせます。それほど、彼らは主の御旨に相応しく生きたのです。
歴代誌は、一般的には、北イスラエルの王はあまり評価していません。しかし、ここでは違います。南ユダのアハズは顧みられず、逆に北イスラエルの王アラムが高く評価されています。血肉や氏育ちがモノを言うのではなくて、御言葉に謙遜に聞く者をこそ、主は祝し給うのです。
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