上記は、ソロモン王の知恵や国家の繁栄を聞いてやって来たシェバの女王の言葉です。彼女はソロモンの知恵の素晴らしさ、国家の繁栄を見て「息も止まるような思い」になりました(5節)が、それは主なる神の恵みと憐れみの故であることを知ったからでしょう。
わたしたちも、主の恵みと慈しみの故に立つを得ているという事実を、一瞬たりとも忘れてはなりません。それを忘れるとき、傲慢になり、御前から落ちることになります。実際、11章以下には、ソロモンの凋落ぶりと、王国の分裂の経緯が記されることになります。その原因は一つです。「あなたを王位につけることをお望みになったあなたの神、主はたたえられますように」とシェバの女王が語りましたが、ソロモンがその主の恵みによって王位に就いていることを忘れ、主をたたえることを
疎
かにし、他の神々を礼拝したからです。御前での謙遜、主の恵みによってだけ立つを得ていることを忘れるとき、御前だけではなく、人の前にすら立つを得なくなるのです。
主イエスは仰せになりました。「南の国の女王は裁きの時、今の時代の者たちと一緒に立ち上がり、彼らを罪に定めるであろう。この女王はソロモンの知恵を聞くために、地の果てから来たからである。ここにソロモンにまさるものがある」(マタイ12:42)。ソロモンに勝る主イエス・キリストの父なる神の恵みによって、わたしたちは罪赦されて生きるを得ているのです。その主をたたえて生きるほか生きる道がないのです。その道を歩むことを止めたら、異邦人であるシェバが立ち上がり、わたしたちの罪に定めるでしょう。御前に遜って、御名をたたえて歩んで参りましょう。
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