あなたを生かす聖書の言葉

2021年2月28日(投稿)

今週の聖句    列王記上

 聖書「どうか、あなたの民を正しく裁き、善と悪を判断することができるように、この僕に聞き分ける心をお与えください」(3:9)  

 上記の言葉はソロモンの祈りです。その祈りに応えて、主なる神は、ソロモンに「あなたに知恵に満ちた賢明な心を与える」(12)と仰せになります。ソロモンがその知恵に満ちた賢明な心でもって、二人の女性たちの訴えを見事に裁いて見せたということが、この3章に記されています(1628節)。

同時期に出産した女性二人の内の一人が、添い寝していて誤って子供の上に臥せって死なせてしまいます。その女は、死んだ子供を隣りにいる女性の子供とすり替えました。すり替えに気づいた女性は、自分の子供を戻してほしい、とソロモンに訴え出ます。ソロモンはそれを聞き、子供を半分に切り裂いて、半分ずつ二人に渡したらよいと言います。偽りの母はそれを了としますが、本当の母親は、我が子が死ぬことが忍び難く、偽りの母の許でも良いから子供が生きることを望みます。それを聞いたソロモンは、子供が生きることを望んだ方を本物の母親と裁定しました。これは、確かに知恵に満ちた賢明な判断の具体例ではありますが、その本質ではありません。

 真に「知恵に満ちた賢明な心」とは、神の御心を知りそれに聞き違うことです。冒頭の言葉で言えば、御言葉を「聞き分ける心」です。この3章の冒頭には、ソロモンが焼き尽くす供え物(罪の赦しを願う供え物)として1000(の羊)を献げたとあります(4)。数の多さは、自分の罪の深さを思っての事かもしれません。しかし、罪の贖いに必要なのは1000頭の小羊の血でなく、(ソロモンはまだそのことを知る由もありませんでしたが)たった一匹(一人)の「世の罪を取り除く神の小羊」(ヨハネ129)である御子の血潮です。神の恵みにより、キリストの血潮によって罪赦されていることを覚えればこそ、主の御言葉を聞き分けて、主に従うことこそが「知恵に満ちた賢明な心」なのです。 

京都大宮教会 牧師 渡邉宣一

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