ダビデは年老いて死期が迫っていました。王位継承が問題になります。ダビデの四男「アドニヤは思いあがって、「わたしが王になる」と」(5節)言ったのです。長男アムノン、三男アブサロム亡き後、順番から言っても、堂々たる風貌からしても(6節)王に相応しく、実際「アドニヤ王、万歳」(25節)と言って支持する者もいて、王であることを天下に表明しました。しかし、それは、彼の思い上がりに拠るもので、主なる神の厭うものでした。結局、彼は王になれませんでした(列王記上2章には、彼は殺されたと記されています)。
アドニヤの動きに対して、預言者ナタンは、ダビデがソロモンを王に指名していたことを覚えていたこともあって、ソロモンの母バト・シェバと共にダビデに直談判します。そして、実際、祭司ツァドクがソロモンに油を注いで(38節)、彼が王位を継承することになったのです。29節以下に、ダビデの言葉が記されています。「わたしの命をあらゆる苦しみから救ってくださった主は生きておられる。…ソロモンが…わたしに代わって王座につく、とイスラエルの神、主にかけてあなたに立てた誓いをわたしは今日実行する。」実は、聖書には、ダビデがそのような誓いを立てたという記述はありません。むしろ、「主はその子(ソロモン)を愛され…たので、主のゆえにその子をエディドヤ(主に愛された者)とも名付けた」(Uサムエル12:24∼25)とあります。実際にダビデがそのような誓いをしていたとしても、それより先に、主なる神はソロモンが生まれた時から彼を愛し、王位を継ぐべき者として定めてくださっていたのです。すべては御心の通りに成るのです。
王位継承は人事です。しかし、神の民にとっては、それは神の定め給う神事です。御心に従うことが、わたしたち神の民の信仰生活の基本であります。
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