あなたを生かす聖書の言葉

2018年12月9日(投稿)・主日礼拝説教(要旨)

神はわたしたちの心より大きい  

 聖書「神は、わたしたちの心より大きく、すべてをご存じだからです。」                     (Tヨハネ320)

神はわたしたちの心より大きいというのは、当然だと思うかもしれません。わたしたちの心の内に入ってしまい、自家薬籠中の物のように扱えるお方が神であるはずがない、と誰しも思うでしょう。しかし、心ではそう思いながら、実際には、神を小さくしてはいないでしょうか。

1世紀末頃に活動した教父に、クレメンスという人がいます。このTヨハネが記された時と同時代の人です。彼の説教が残っていて、それを調べたら「神を小さくしないようにしよう」という説教があったということです。初代教会から時代も場所も遠く隔たっている日本で、明治から昭和にかけて日本の伝道の主要な担い手として仕えた牧師の一人に植村正久がいます。彼は「キリストを縮小するなかれ」という題の説教を残しています。更に現代に目を移すと、日本キリスト教会牧師、蓮見和男は「あなたの神は小さすぎる」という題の説教をしました。それらの説教題を思ってみただけで、分かります。わたしたちは、時代、地域を問わず、神をわたしたちより小さくしてしまっているのではないでしょうか。その分、自分を大きくしているのではないでしょうか。

わたしたちの救いは、神の恵みに拠ります。しかし、わたしたちは自分の知恵、力、霊的経験などから始まって、信仰、祈り、奉仕など、自分の側にあるものも救いに役立つ、と思ってしまいかねないのです。そのようにして恵みの神を小さくし、自分を大きくしようとするのです。そのようなわたしたちですが、神は御子をお遣わしになって、自分を大きくしようとするわたしたちの罪を贖って、それこそ恵みによって救いを賜わったのです。わたしたちは、その恵みの主の御前に遜って、主をたたえるほかないのです。そしてそのようにすることが、大いなる神にふさわしいことなのです。

 

京都大宮教会 牧師 渡邉宣一

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