聖書は、わたしたち人間のことを、「神の子たちと悪魔の子たち」(10節)に分けます。わたしたちは、今までは御前に罪を犯していた悪魔の子たちでした。しかし、今や神の子たちとされ、「神に属」する者とされたのです。実は、この「神に属する」という言い方と、前回読んだ9節の「神から生まれた」という言い方は同じ言葉です。どちらも「神から出る」「神から来る」という言葉です。そのことから分かります。わたしたちが神の子たちとされたのは、わたしたちの力によったのではありません。わたしたちが努力、研鑽して神の子イエス・キリストに近い生活をするようになったから、神の子たちと言われるようになったのではありません。それは、神からで、神から来るのであり、神の愛、神の恵みによることなのです。
そのことは、どの信仰者にも当て嵌まります。すべてのキリスト者は、そのように神の愛、神の恵みによって神に属し、キリストの体に連なる者とされているのです。そのことを覚えるとき、わたしたちはお互いに、同じ一つのキリストの体なる教会の肢体として敬って生きるということになるでしょう。それが「自分の兄弟を愛」するということでもあります。
そのようにして、「わたしたちの交わりは、御父と御子イエス・キリストとの交わりです」(Tヨハネ1:3)とあるような恵みの事態を明らかにしていくことが、神の御心に適った「正しい生活」なのです。そのためにも、恵みによって神に属する者としてくださっている主をこそ、いつも主としてほめたたえてゆくのです。
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