あなたを生かす聖書の言葉

2016年1月2日(投稿)・主日礼拝説教(要旨)

「まずは福音を!」

聖書「しかし、まず、福音があらゆる民に宣べ伝えられねばならない。」

(マルコ 1310)

当時屈指の、絢爛豪華な建物と看做されていたエルサレムの神殿を見ながら、弟子たちは「なんとすばらしい石、なんとすばらしい建物」と詠嘆しました。主イエスはそれに対して、「これらの大きな建物を見ているのか」(2)と慨嘆なさった上で、この神殿の崩壊を予告します(実際この神殿は70年に崩壊しました)。この主イエスのお言葉には、きちんと見るべきものが別にある、というニュアンスが込められています。実際、主イエスはこのあと、この2節で「見ている」と訳されているのと同じ字を使って、「気をつけなさい」(59)と繰り返し語っています。わたしたちが見るべきこと、その分、気をつけるべきことは、もっと他にあるのです。

わたしたちも、ともすれば豪華な建造物に目を向けるかもしれません。目を向けるだけではなく、心も奪われてしまうかもしれません。この5節以下には、偽キリストの出現の戦争のうわさ、地震、飢饉などの自然の災害への言及があります。また9節以下では、迫害が予告されています。実際、そういうことが起こったら、わたしたちの心はそれらに向かってしまい、それらに心を奪われてしまうかもしれないのです。

しかし、大事なことは「まず、福音があらゆる民に宣べ伝えられねばならない」と、主が仰せになっていることです。この「〜ねばならない」という言い方は、神の御心だからその通りにならないはずがない、という意味合いです。福音の伝道が先なのです。そこに御心があるのです。ですから、わたしたちは、この世のことども、或いは争いや自然災害、迫害があったとしても、それらによって一喜一憂させられるのではなく、主の福音と福音そのものである主イエス・キリストにこそ目を向け、福音の伝道に生きるのです。そのためにも、主とそのお言葉に信頼して、それに聞いていくのです。

 

京都大宮教会 牧師 渡邉宣一

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