①瓜生石/はげみ(七不思議)
黒門前の道路中央にあり、石柵で囲った大きな石をいう。知恩院ができる前からある石で、八坂神社の牛頭天王が降臨して一夜で瓜が生えて実ったとか、二条城へ続く抜け道の出入り口であるとも伝える。また、この石は地軸から生えているとも伝え、節分に自分の年齢よりも一つ多く小石を供えるといった風習があったようだ。江戸期には、この石は瓜生石と呼ばれた著名な石。その由来について各地誌が競って取り上げているので、その幾つかを紹介しておこう。
・『名所都鳥』 鉄盤石の東に有。相つたふ。牛頭天王この石の上に來現し給ふ。これによつて社を今の祇園に建。はじめ東山瓜生山に現じ。かさねて又この所に現ず。この故に名づくるか。この石もまた瓜生山にありしをこの処に移すか。これを世に慈鎮石といふはあやまれるか。瓜生と和尚と和語ちかき故にあやまるなるべし。
・『山州名跡志』 この石に説々有りといへども信用し難し。故にこれを略す。当山の住僧古老の説に一義あり。往古この石の下より一夜に瓜草生ゆ。その蔓程なく石面にはびこれり。依て見聞の人稀有なりとす。その後、花を生じて胡瓜を生ず。その瓜に牛頭天王の文字有りとも又は感神院の字也とも。これに依てこの石霊石なることを貴で。不浄をはらひ。又石上にのぼることを戒む。終にその瓜を取て粟田の天王の摂社に納む。この所元より青蓮院の敷地の故なり。この故に今に至りて彼神社に胡瓜の矛有て祭日是をわたす也。
・『都名所図会』 瓜生石は黒門の前にあり。むかしこの石のもとより胡瓜の蔓生じて瓜を結ぶ。その瓜に「牛頭天王」の文字あり。これによつて粟田天王の社内に納む。
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