この地には、江戸初期ごろから寺が集まってきて、いつのまにか「出水の七不思議」が伝えられるようになった。
①地福寺の日限薬師
上京区出水通六軒西入ル七番町にある真言宗醍醐寺派の寺。宝珠山と号す。本尊薬師如来。寺伝では、弘仁年間(810~24)僧真済が葛野郡安井村に創建し、享保十二年(1727)道空が現在地に移転したという。本尊の薬師如来は日限薬師と称し、小穴のあいた石に糸を通して奉納し四十九日間祈願すると、耳の聞こえないのが治るとされる。自然に穴のあいた石でないと霊験はないという。京都十二薬師の第五番札所。
⑦福勝寺の牡丹桜
上京区出水通千本西入七番町にある真言宗善通寺派の寺院。本尊薬師如来。竹林山と号す。空海が河内国古市郡に創建。正嘉年間(1257~59)醍醐寺の僧覚済が京都に移した。以後皇室の尊宗厚く、後陽成天皇の勅願寺となる。後西天皇が御所の左近の桜を当寺に分栽して見事な花を咲かせたことから「桜寺」といわれた。当時の桜は惜しくも枯死したが、現在、本堂右手に二代目の桜が植わっている。同寺は、豊臣秀吉が武運長久を祈願して千成瓢箪を奉納したことから、瓢箪寺とも呼ばれる。江戸期、当寺の不動明王は牛皮不動という名で、名不動の一つに数えられた(『京羽二重』)。 |
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牡丹桜 |
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