③称念寺の浮れ猫
上京区寺之内浄福寺一丁目西入上ル西側にある寺。通称は猫寺。浄土宗知恩院派に属する。山号は本空山。本尊阿弥陀如来。江戸期には洛陽四十八願寺の第十番札所で、『東西歴覧記』は「四十八願寺の随一也」という。
猫寺の由来について駒札はいう。慶長十一年(1606)茨城県土浦城主松平伊豆守信吉が師僧嶽誉上人のために建立。嶽誉上人は浄土宗捨世派の祖・称念上人を開山とし寺号を称念寺と定め、自らを中興開基とした。寺に葬られた松平信吉の母が徳川家康の異父妹であったので寺紋を徳川家定紋の三つ葉葵とした。寺伝によれば、三代目住職の頃、松平家と疎遠になり寺は荒廃していたが、ある夜、帰山した住職は、愛猫が美姫に化身して舞うのを見て怒り、これを追放した。数日後、猫が住職の夢枕に立ち松平家との復縁を告げて住職に報恩。寺は立派に再興した。以後、寺では猫の霊を厚く守護したので、猫寺と呼ばれるようになった。本堂前の臥龍の如く伸びた老松は、猫を偲んで植えたものと伝わる。この松が見事なことから松寺ともいう。この松は、昔は二本あって猫寺の二本松と呼ばれていたが、今は一本のみ残る。松の枝が本堂に届いた時、再び猫が現れて寺を救うという。
境内にはペット墓苑(拝観謝絶)が設けられており、毎年四、八、十の各月二十日には犬猫供養祭が盛大に行われる。
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