店主・田中の函館見学  平成二十四年 七月
乾燥を終えた状態の昆布です
これは、干した状態の物である程度の長さに切り揃えただけの状態のものです。
主に、加工用に使われます。
この写真は、天然の自生の昆布の漁の風景です。
船上から、海底に根づく昆布を見つける
のは本当に熟練した漁師の持つ力です。
腕と勘が便りの作業ですね。
天然の昆布は浜から50m位の所で育つそうです。
(養殖の昆布よりも浜にかなり近い)

函館・南茅部(みなみかやべ)の漁業組合さんへと、やって参りました。
ここ、南茅部は「真昆布」の一大産地、
"献上昆布”で名高い尾礼部真昆布や、
当店の「おぼろ昆布」・「山椒昆布」・「まつば」などの原料にもなる昆布です。
これから、昆布漁の最盛期に入る繁忙期にも関わらず、今回の見学に快く応対して頂きました。

早朝、5時ご明け方近くに漁に出た船が収穫した昆布は
この時間には既に浜の石地の上にキレイに並べられ、
天日干しの作業に入ります。
短時間にこれだけに量の昆布を並べるので、
一家は総出でこの作業を手伝っておられました。
もちろんこの天日干し作業は雨の降っている日はできないので、
天候にも大きく左右されてしまうのです。

この様に、海底までロープがはってあり
そのロープに、昆布が根付いています。
昆布の養殖は魚類などと違い、餌を与えるという
訳ではなく、自然の海の中で2年間という歳月を
かけ、育てていきます。
「のし」をかけ、平たくした状態の昆布の耳(端)の部分を切る作業をされている、工場の風景。
この作業ももちろん手作業で行われております一枚。一枚大きさ、厚さが違うので
機械に通して均一の作業が出来ませんので、細かな手仕事で仕上げます。
私、田中も、収穫前の昆布を実際に手に取り
その重み、長さを確かめてみました。
海水とミネラル、栄養分をたっぷりと
含んだ、真昆布は想像していたよりも、
ずっしりと重たく長かったです。
昆布や漁師の方次第でこのように、吊った状態で、風に晒す方法をされている所もありました。
この状態で、約半分に折った状態で吊られています。
ちなみに私の身長は166cmですので、
4m位はあるのでしょうか。これが乾燥すると半分ほどの長さになります。
(左のおじさん、落ちた昆布を慌てて、拾ってはります(笑)

船で海上を1.5km程、進んだ辺りの昆布の養殖場の風景です。
この海上に浮かぶ「ブイ」の1本1本に2年間育てられた、
昆布たちが根を張っている訳です
現地の漁師さんは、この風景を「
」だと仰います。

南茅部・漁業組合の方に、船を出して頂き、
一路、沖の方へと向かいます

箱詰め前のほぼ出荷前の昆布たち先ほど、沖で手に取り、重さを知った昆布がここまでになるのに、
度重なる手間と時間が掛けられています。
ここから、当店のおぼろ昆布などは漬け前といわれる「酢漬け」の工程から
昔ながらの「
手漉き」の製法で削り上げる訳ですね。
収穫した昆布を、船からトラックに積み込む作業。
組合の浜にはこういったクレーンが幾つかありました。
ちなみに函館の浜ですので、イカ釣りの漁船なども
数多く停泊していました。
店主 函館昆布漁見学のまとめ
この度、北海道函館の商社の方と、漁業組合の方の協力で、一連の昆布漁から製品化までの
流れを実際に見ることができ、「昆布」という商材を扱う「昆布屋」として、
大変貴重な体験をさせて頂く事が出来ました。
製品となり、市場に流れるまでの大変さを知れば、自分が持つ昆布へのこだわりも
さらに増してお客様に伝えられると思い今回の見学に挑戦いたしました。
が、しかし…
一方では気象の変化や、水温の原因など、または漁師の減少で昆布自体の収穫量は少なくなるばかり、
それに伴い、出汁や、その他、若年層の「昆布」への興味執着のなさによる需要の低下
などなど、前を見れば問題は山積みであります。
我々が出来る事を、まず一歩一歩考え、
昆布という食材の魅力をより販売という形で伝えられたらなと強く思いました。
今後とも、「おぼろ昆布」をはじめ、「京昆布舗 田なか」の「おこぶ」は
美味求心の気持ちを忘れずに日々精進したいと思いました。