その柔らかな頬に手を添えて
緑が青々と茂り、
葉と葉の隙間からチラチラと太陽の光が漏れる
風が運んでくる緑の香りが鼻をくすぐった。
「ふぅ…」
はそう呟くとそのまま背中を木に身を委ね、
この瞬間だけ、まるで時間に支配されていないかのような
そんな錯覚に陥った。
頬を撫でる風が心地良い
葉が重なる音が心地良い
はそっと瞼を閉じた
このまま寝てしまおうか?
きっと寝過ごしてしまったら隊長はともかく、
伊勢副隊長に怒られるんだろうな…
心の中でそんなことを思いながらは着実に襲い掛かる睡魔に飲み込まれる。
「あれ、こんな所でお昼寝しているのはウチの子かな…?」
遠くの方で声が聞えたような気がして
はうっすらと瞼を開ける。
そこには色鮮やかな衣を纏った男が一人、
それは紛れもなく隊長である京楽の姿だった。
草が折れる音が微かにして、
横には確かな気配を感じた。
「隊長…?」
「うん?」
「いや、逆に聞かないでください…っていうか寝かせてください」
「どうしようかなー…ってこらこら、まだ何も言っていないのに目を閉じちゃダメでしょ?」
「………」
「聞いてる?ちゃん」
「………」
「ねぇねぇ聞いてる?」
言って京楽はの顔を窺うようにして見た
その寝顔が京楽の頬を和らげて、そっと微笑んだが
京楽はこの一線を越えてはいけないような、
これ以上近づいてはいけないような、
そんな気がして
ふっと顔を反らし、空を見上げた。
「起きてくれないと困るんだよねぇ…」
――ねぇ、聞いてる?ちゃん
そう付け足して言った時だった
「だから寝かせてくださいって言ってるでしょ、聞えなかったんですか?それとも耳がないんですか?」
「何、起きてたの?ずるいなぁ、ちゃんは」
「うとうとしていただけです…横でブツクサ言われてたら普通寝れませんよ」
「いいじゃない、もう覚めちゃったでしょ?」
「こうなったら意地でも寝てやる」
「いや、そこは意地張んなくていいと思うよ?」
「うるさいなー、とにかく寝か、せ、て――?!」
途切れ途切れにでてくる言葉は最早言葉の意味を成していなくて、
はそっと頬に添えられた大きな、骨ばった京楽の手に驚いて、
ただ、風が吹く中、そっと京楽と目が合い
また葉が重なり合う音が耳を心地良くした。
「いいじゃない、寝る時間ならいくらでもあげるよ?だから今だけはボクのね」
「京、楽たいちょ…」
「あ、違ったかな?今だけじゃなくて、ずっとか」
「…仕方ないから『ずっと』でいいですよ」
そう言って笑ったのは言うまでもなく
京楽はの両頬を包み込むようにもう片方の手を添えてそっとキスをした。
京楽隊長(浮竹隊長もだけど)なんかいっすよねぇ…(なんでだろうね)
あきらか季節がおかしいのは…あえてツッコまないでいただけたら幸いです。
ありがとうございました!!!