ただ、空を見つめて
ただ、流れ行く雲を見つめて
眩しい太陽の光を手で遮って
ただ空を見つめた

 

 

「――

 

 

ふと呼ばれた自分の名、
目の前に現れた人物はそれこそ眩しくて見えないものの
声からして予想はついた

 

 

「一護…?」

 

 

「おう」

 

 

答えた彼は私の隣に座って私を見下ろす
若干その視線を感じながら空を見つめたままの私、

 

 

「見せたいのかよ?」

「・・うそ、見えてた?」

「ちょっとな」

「一護のスケベ」

「ばっ、言ってろ」

 

 

きっと『バカ野郎』と言いたかったのだろう、
赤面しているに違いない一護の顔を一目見ようと思ったがやめた。
視線をまた、空に向け
何も考えずに見ていた
私に気を使っているのか一護は何も喋らない
横目で見てみれば、
寝そべっている一護と目が合う

 

 

「ど、どうしたの?」

「何でもねぇ」

「そ、そう」

 

 

言ってて自分でも何が言いたかったのか分からなくなって
思わず視線を青空に戻す
じっと見ていたら時間の感覚なんて分からなくて
手を差し出すと吸い込まれそうになる
いっそ、吸い込んでくれたならどんなに楽になれるだろうか?

 

 

「おい…っ・・」

 

 

聞こえた一護の声に我に返る
空へと伸ばした手は何時の間にか一護が握っていた

 

 

「一護・・?」

「見てらんねぇーよ」

 

 

寝たまま強引にも引き寄せられ
あっという間に一護の胸の中にいた私、
風が肌を撫でた

 

 

「消えるんじゃねぇかって、怖かった」

「消えたりしないって…一護のほうが消えちゃいそうで、怖い」

 

 

一護がこの世からいなくなるなんて死んでもイヤだ
そんな言葉が心中に浮かんで
どうしようもなく垂れ落ちた涙
そっと一護の白いシャツに染みを作る

 

 

「消えたりしねーから、あ゛ー…泣いてんじゃねぇよ」

「…泣いてないし……」

「ハイハイ、分かったから…」

 

 

そう言って抱き締める一護の腕に力が入ったような気がした。
やはり彼のほうが大人に思えて
自分は彼に甘えている小さな子供のようで
そう思うと恋人という肩書きすら与えてもらえないような気がした

 

 

「子供扱いしないでよ…バカ」

「してねーよ、」

 

 

どうしてそう疑問系にして…
ちょっと苛立ちを覚えた私は一護を睨みつけてやる
そしたら一護は溜息をついて

 

 

「――っ?!」

 

 

そっと、前髪をかき上げられたと思ったら柔らかい感触が伝わってきた
瞼、頬、唇と降りてきた一護の唇は優しく温かかった
音をたて離れたそれ、見えた一護の表情

 

 

「悪ィ、」

「いや…別に・・」

 

 

言った後、またキスをされた
慰めるように優しいキスはそっと私を溶かしていく
舌を入れられたら逃げても無意味だと降参した。
巧く絡め取られる舌に
何度も角度を変えて
いつの間にか組み敷かれていた私、
オレンジの向こうにある青い、青い空が私達を見ている


orange

 

 

 

 

 

FIN...

前に書いたやつを書きなおしました。
格好良い彼を只管目指しております。

強気だけど弱気なヒロイン(うわ、ごっつい矛盾)

ここまで読んでいただきありがとうございました!