*彦根藩士年の年中行事と食事、正月元旦についてはそのままあげる
・正月元旦
【そうに之事】
皿 ごまめ 黒白大豆七ツヅツ
香之物長きり 赤白餅
但シミそ仕置かやく上ニ置く
【かやく之事】
大根 いも やきとうふ こんふ 人しん并(並)水な かつを二品上ニ置 いわゐ餅 はまぐり吸物より引遣 とそ酒三献、いわゐ候事
【昼時祝儀膳】
皿 いわし鱠 細切大根 汁何ニ而も
【香之物】
小にもの いも こんふ 大根 ごぼう 人しん 飯いわし引く
・正月二日の祝儀膳
・正月三日の祝儀膳
・正月四日の大信寺和尚ら年礼の接待料理
(五月四日のみ短いので(そのまま)あげ、他は省略します)
・五月四日
ちまき かしこだんご まこも餅致し神仏江相備 皆々いわゐ候事
・六月一日
・七月十四日(盆)の仏壇供物
、(略)、大信寺和尚棚経ニ被参候節仏前回向相済候後、吸物膳ニ、(略)、
・七月十五日
朝五ツ時 はすめし 御茶とう (以下略)、、
・八月初納之節食献立
・八月十五日
今朝風呂致し今ばん月見之粉引かせ可申。
・十二月十六日(煤払いの日)
昼時粥祝ひ候事
・十二月廿九日
こしみのゝ事
・十二月大晦日
今朝都合次第年徳棚并(並)神々江造酒 御鏡相備候事
、、武士の食生活は農産物が主であるが、農民町人と比べてやはり山海の珍味が多い。
◎上記から食材等を取り出したもの。魚では"いわし"が多く、鯖、鯛、かつを、は珍しい。江戸期に鯖は富魚だったはず。小浜からの鯖街道があり、多くは京へ向かうか。
【海産物】いわし、かつを、鯛、かきなます、さしさば、ぼふだら、刻するめ、かき、三重はまぐり、ゑび、かつをぶし、ほしかづのこ、なます、はまぐり、こんぶ
【農産物】大豆、いも、大根、ごんぼ、人しん(人参か)、干柿、みかん、ふきのとう、れんげ、里いも、山かふら、なす、かぼちゃ、かもうり、さんしょ、のし、にんにく、せり
【作り物】ごまめ、とうふ、かちぐり、にしきふ、かしこだんご、御さしみ(何)、こんにゃく、ずいきすあへ、御茶とうふ、みじんとうふ、やきどうふ、うり塩もみ、くしがき、たたきごぼう、梅干、のり置、すりしょうが、かきなます
以上、文久元年(1861)の「年中行事」と"その日の料理"から。『彦根市史』中冊 P425