「まずは、3本取りからっ!!」

うぃーっ!!



午後からの部活に、俺は参加する。

昼飯のときに、食堂へ行ったら皆に歓迎された。
物凄い歓迎のされ方だった。
何だったんだろう・・・あれは。



「陽平は・・・ん、じゃぁ先にこっちからね」

「げっ、ボール出し?」

「めっそうもない。ボールひらいに決まってるよー」

「あ・・・そう」



やっぱりそうだよな!!


俺はこの数ヶ月でボール出しをやったことがない。
そりゃーコントロールがイイ方ではないもんな。
だからと言って、ボール出しぐらい・・・。
1回ぐらいさせてくれたって罰はあたらないと思うんだけどなぁ。

そんなことを思いながら、飛んでくるボールをひらう。
皆、狙い場所が同じなので、俺はあるポジションに着けばそこでずっとボールを拾ってられる。



「・・・先輩?」

「あ・・・礼緒じゃん。どした?」



何となく、深刻そうな顔に見えるのは俺の見間違いか?
身長からして俺の方が低いので、俺は見上げるような感じで礼緒を見た。



「ホントに、大丈夫なんですか?」

「・・・はへ?」



ぉおおう!
俺ってば何つー気持ちの悪い日本語喋ってんだ!!
『はへ?』って何だよ、『はへ』って!!



「や、昨日・・・あんなに辛そうだったんで」



礼緒がしゅん、とした。
あ、何か犬みたいだ。
例えると・・・そうだな、警察犬みたいな!!

って、そんなこと考えてる場合じゃねぇんだよ。



「大丈夫だから出てるに決まってるだろ」

「・・・ほんと、ですか?」

「当たり前。大丈夫じゃなかったら監督あたりがとめるだろ?」



俺がまだ練習に参加できそうでなければ、翔己や監督が止めに来るだろう。
特にあの監督、見かけによらずに怖いからな。
俺があの怖さに対抗できるわけがない。



「・・・っ」

「で、何?」

「あ、いや・・・何でもないですよ」



怪しい。
俺をここまであからさまに心配する様がおかしいのってのもあるんだけどな。
礼緒が少し奇妙なんだよ。
なんか、目が泳いでるぜ。



「・・・礼緒?」

「何、ですか?」

「はけ」

「・・・・」



こんのやろう!!


俺から目を逸らしやがった。
なんでそこまでして隠したがるんだよ!!
つーか、マジで何隠してんだよ!!



「そこっ、喋らない!!」

は、はい!!



翔己の声で、俺等は会話を止めた。
そして、ボール集めに専念する。

・・・に、しても、気になる。
礼緒があんな態度とるの珍しいし。
絶対何か隠してるよなぁ・・・。
あー、もうっ!!
こんな気持ちでテニスなんかやってられっかぁああああ!!

って、やるけどな!!
俺だってテニス部なんだから、これぐらいやるけどな!!



「はい、次っ!!」



何だかなぁ・・・。
今日の翔己は滅茶苦茶怖い。
っていうか、燃えてるっつーか・・・。
やる気満々すぎて、俺等ついていけるのか?!!状態だ。



「じゃ、次、逆!!」



翔己の声がコートの中に響いた。



それから俺達が3本をひらう側になった。








すぐにその練習も終わって、休憩になった。
まぁ、俺等にとっちゃその練習も長かったんだけどよ!!



「・・・し、ぬ」



ドッカとベンチに腰を下ろした。
顔にタオルをのせて、俺は息を整えていた。



「先輩、生きてるー?」

「生き、てるよ」



この声は洸だな。

洸はこの練習にも割と平気そうな顔でついていっている。
なんか、悔しい。



「先輩、礼緒と話してたでしょ?」

「んぁー?」

「まさか、翔己先輩の話真に受けてるとは思わなかったけどね」



どういうことだよ。
俺には全くサッパリ意味が解りません。

ゆっくりとタオルを顔から取って、洸のほうを見た。



「どーいうことだよ?」

「・・・ん?」



俺のほうを見た洸は笑った。
えっと、普通に笑うんじゃなくってさ、ニッコリ笑むっていうのかな。
とりあえず、そんな感じだった。



「翔己先輩さー、『陽平が40度以上の高熱だー』って」

「・・・はぁ?」

「『熱あるけど、今日は練習入れさす。だけど気をつけてあげてね?』・・・だってさ」

「俺の熱とか、もう平常だけど?」

「だーから、いまだ信じてるのは礼緒だけっ」



・・・おいおいおい。
俺ってそんなに頑丈そうに見えるかよ。
礼緒も心配しすぎだけど、他の部員も少しは俺を心配しろよ。
俺だって熱出す時は出すんだぞ。
これから熱射病で倒れても知らねーぞ。



「心配しなかったわけじゃないよ」

「あ?」

「心配する必要がなかったんだよ」

「・・・・はぁ?!」



さらにわけが解らない。

俺は無い脳みそをフル回転させて、意味を考える。
だけど、答えは出てきそうにない。



「僕の場合は、全部ジンに聞いたしー」

「ジンに・・・?」



余計なこと言ってないだろうな、あの馬鹿。
洸に余計な事言ったらずぐにウワサになるし。
それだけは、避けたい。



「ま、適当にイロイロねー」

「そこそこそこ!!はぐらかすなよ!!」



頼むからそこだけは一言一句間違わずに言ってくれ!!
でなきゃ、俺のソワソワ感がどうしようもねぇ。




















「集合!!」

「あ、集合だって、先輩!!」

「あきらぁあああ!!」