「・・・帰りたい」



右手にはコンパスと地図。
右肩からはリュックを背負っている。
左手には★が書かれた紙。
そして、俺の右側には



「ま、しゃーねぇだろ」

「っつーか、何でお前と組まなきゃなんねぇんだよ!!」



俺はお前とペアでもあるんだぞ?!!
それで一緒ってのに、今回の宿まで辿り着けゲームでもペアかよ!
すっげー嫌だっつーの!!



「ま、これもコンビ愛なんじゃなーい?」

「翔己・・・っ」



人事だと思いやがって!!

翔己は東雲とペアらしい。
これもこれで微妙なんだけどな。
ついでに郁は槐人と。礼緒は元ペアと。洸は副部長とそれぞれペアを組んだ。
テニスのペアと同じなのは俺等ぐらいだった。
もう、嫌になる。



「ルールは簡単。宿舎に着けばイイだけ、ただしココが地図のどのあたりかってのは言わないけどね」



ニッコリと笑う監督が鬼に見えた。
っていうか、完璧に鬼だよな!!
俺等が遭難してもイイっていうのかよ?!!
否、そこまで鬼じゃねぇだろうけどさ・・・。
けど、鬼だよな。うん。



「無理だったら、地図に書いてる僕の携帯に連絡よろしく」



そう言って監督は地図を出した。
俺等も地図を見た。
片隅に監督の携帯番号が書いてあった。
それを見た瞬間に安心した。
リタイアでも、大丈夫だ。



「だけど、リタイアしたら晩御飯と布団抜きね」



監督は語尾にハートマークをつけて言った。

・・・って、ぅおい!!
俺等を殺す気か?!!
晩御飯抜きって・・・!!



「俺等育ち盛りなんですけど!!」

「だから、クリアすればイイんだよ」



ヘラヘラ笑って言う監督。
っていうか、言うこと無茶苦茶すぎる・・・。
しかも、これを2,3年は経験してるんだろ?
それも凄いと思うんだけどな。



「・・・やられた」

「あ・・・?」



頭の上の方で声がした。
多分、ジンだろ。
っつーかこの高さと近さからしてジンしかいない。



「ペア作ったと思ったら、こういう事かよ」

「・・・ん?」



おかしい。
ジンの発言がいつもと違うおかしさがある。
俺はわけがわからなかった。
お前、去年も一昨年も来てるんだろ・・・?



「なぁ、ジン?」

「ん・・・?」

「お前、去年も一昨年も来てるんだろ?」

「あー・・・まぁ」

「じゃ、何でそんな『やられた』って・・・?」



俺はジンの方を向いた。
ジンは面倒くさそうに頭をかいた。



「去年とかは・・・宿の場所を聞いてたから、ただ走るだけでペア組む必要なかったんだよ」



・・・ワット?
今、この人何っつった?



「宿の場所・・・聞いて、た?」

「あぁ」

「嘘だろっ?!!!!」



ありえねぇ!!
何でよりによって今年から変わるんだよ!!
意味が分からない!!



「まぁ、監督変わったからしゃーねぇんだけど・・・」



確かに、去年までは椎木監督じゃなかった。
だけど結構厳しかったと聞いていた。

・・・今年とどっちが厳しいんだろうな。



「あー・・・俺、帰りたい」

「したら俺がペナルティーじゃん」

「あ、それイイかも」

「おい」



うん、ジンが夕飯抜きってイイ気味じゃん!
否でも、ちゃんとするけどな。
ちゃーんとこの合宿には参加しますってば。



「ついでに、夜の11時以降に帰ってこれなかった奴等も失格だから」

「・・・っ?!!」



今、午後4時なんだけど?!!
これから何時間かかるんだよ!!



「あー、あと2人一緒に帰ってこないと失格とみなします」



まぁ、それは後者の方は普通かな。
わざわざペアを作ったんだ。
一緒に到着しなきゃ意味ねぇだろ。

っても、俺とジン以外のペアは普通に2人でゴールできそうだけどな。
監督も俺等の方を見て言ってたもんな!!



「んー、他に質問は?」



監督がグルっと俺等を見回す。
俺等は監督を見る。
何かを決意したかのように・・・。



「じゃ、質問も無いみたいだし?」



ニコニコと笑った監督。
その笑顔に俺等は頷いた。



「行ってこいっ!!」

うぃいいいっ!!!




















「あ、7時までに帰ってこれたら夕飯は豪華になりまーっす」

「マジっすか?!!」