「ひーのぉおおおっ!!」



バァン



思い切り部室のドアを開けた。

先程までコートにいた俺が何故ここに来たのかには理由がある。
約4日ぶりに桧野が部活に顔を出す、と洸がコートで言っていた。
のでわっざわざ部室まで来てやったのだ。

うーん。俺って優しい!!



「あれ、ようへ・・・えっちー!」

「うっせーよ!!」



誰がエッチじゃ、ぼぅけえええ!
俺は男の上半身裸見たって何の気も起きねぇよ!


俺は全力疾走で走ってきたことと、今の叫びで息を整えようとした。
ゲホゲホ、と咳を下を向いてした。
フイに視界に影が入るのを感じた。
俺はすぐに顔を上げた。



「・・・ぅっ?!!」

「なーに、そんなに俺がいなくて寂しかった?」



ニヤと笑んだ桧野の顔が俺の顔に近づいてくる。
慌てて俺が後退しようとした。
だけど、俺は何につまずくわけでもないのに、体制を崩した。


っていうか、せめて何かにつまずいてしりもちつこうぜ、俺!!

そう思って目を瞑った。
だけど、痛みは無かった。
その変わり、俺の腰に違和感を感じる。
うん、何かに支えられているような、そんな感じ・・・。



「ったく・・・お前はしょうがねぇな」



俺が恐る恐る目を開けたときに見えたのはやっぱり桧野だった。
で、桧野の右手は勿論俺を支えている。
すぐさまそれに気づいて、俺は体を強張らせながらも自分の力で立った。



「あ、りがと・・・」

「いーえ」



そう言った桧野は俺をそのまま引き寄せて・・・。

って、ぇえええ?!!
ちょっ、俺男に引き寄せられたくないんですけど!!!
俺、結構か弱い方じゃねぇんだけど!!
これでも、女を何度か襲っ・・・(自主規制)

兎に角!!
俺は今この状況に不満を感じます!!



「ひ、桧野くーん・・・?」

「んー、何だよ」



そう言いながら、桧野は左手で俺の後ろのドアを閉めた。

ってことは、俺は部室の中に入ったっつーことで。
部屋の中には2人きりって奴か?
うん、桧野以外は全員コートにいたからな。

って、そんな冷静になって考えてる場合じゃねぇんだよ!!



「放せよ」



ギっと桧野を睨み上げた。
だけど俺のそんな顔を見て、桧野は笑った。


え、笑った?!!
俺ってそんな迫力ねぇの?!!
いやいや、そんなわけがねぇ!!



「何で笑うんだよ!!」

「んー、可愛いなーって思っただけ」



ゾワと鳥肌が立った。

ぉおおお!桧野が間違った日本語を使いましたー。
ていうか本気で気色悪いな!!



「・・・喰ってイイ?」

「?!!・・・だ、めに決まってんだろ!!」



つーか普通聞くことかよ!!
ていうか、お前は乾燥ナシだよな!!
何でこんな・・・。



「兎に角、放せって・・・」



ハァと溜め息まじりにそう言った。
そうすると、桧野は少し考えたあとにニヤリと笑ってた。

うわ、絶対間違った事考えてるよ。


俺は桧野の次の言葉に少しも期待をせずに待つ。



「俺の名前、呼べよ」

「はぁ?!!」



意味が解らない。
何故にお前の名前を呼ばなければならないのだ。

そう思ってたら桧野がニッと笑んだ。



「俺の下の名前呼んだら放してやるよ」

「なっ・・・!?」



ズズイと顔が近づいてくる。
ただでさえ距離が近いっつーのに・・・。


俺は焦りながらも言えずにいた。

だって、呼べない。
こんな奴の名前・・・なんとなく呼びたくねぇ。


そんな感じで俺が迷っていた。
すると、桧野は口を開いた。



「でなきゃ、今すぐチュー・・」

「ジン、!!」



即座に言った。


わお、誰が桧野の名前呼べないっつったよ!

でも、あんなこと言われりゃぁ誰だって言うだろうよ。



「ん、も一回」

「はぁ?!!何でだよ」

「・・・チュ」

「ジン、ジンジンジンッ!!」

「・・・」



呆れ顔で桧野は俺を見ていた。
だけど、しょうがない。

プライドとかより俺は自分自身が大切だ!!



「ま、イイか」



そう言うと桧野は俺から離れて自分の荷物が置いてある場所まで行った。
俺はハァと溜め息を付いてその場に座った。



「・・・陽平、何かあったか?」

「んー・・・」



全部お前の所為だろうがよ!!


なんか、部活やってねぇのに、凄く疲れた気がする。
そう思いながら、俺はまた溜め息をついた。




















「あ、普段でも『壬』って呼べよ?」

「・・・はっ?!!」