ギラギラと照りたてる太陽。
真っ青な空に、真っ白い雲が少し。



「・・・間違ってる」

「間違ってませんよ」



俺の独り言に声が返ってきた。
そして、俺は俺の独り言に返事を返した奴を横目で見る。

名は確か・・・東雲柳太と、言ったか?
郁とペアを組んでいる奴だ。
俺、こいつと接点なかったはずなんだけど・・・。

何故今こんな風にこいつの隣に俺がいるのかと言うと、それには理由ってのがある。



「うっわ・・・奇妙」

「うっせーよ」



ポツリ、と言った一言に俺は反応した。
言葉を発したのは俺の斜め前にいる槐人だった。



「にしても、まっさか陽平と柳太のペアが見れるなんてねー」



ニッコニッコしながら、俺の前にいる翔己がそう言った。


そう、こいつの言ったとおり、俺と東雲はペアを組んだ。
理由は簡単、お互いのペアが休みだったからだ。

桧野が休むのはイイ。
だってアイツは補習でしょっちゅう休んでやがる。
まぁ、これも考え物っちゃー考えモノだけどよ。

だけど、何故郁が休むんだ・・・っ!!
あいつが休むなんぞ、天気が変わるぐらいの一大事だと俺は思うんだけど。



「早く権利決めて下さい」



キパと東雲が言った。

はいはい、すみませんでしたー!


俺は少々気分が乗らないまま、槐人とジャンケンをした。
そして、負けた俺がラケットを回す。



「んー、裏で」

「・・・残念、表」



ラケットは表を向いていた。


そこで、サーブかレシーブかコートか。
この3つを決めれる権利を得るわけなのだが・・・。

チラリと東雲を見た。
あー・・・こいつは絶対サーブだよなー。
郁と組んでいるときも、いつも勝てばサーブを取っている。
だからコイツはサーブを取りたいだろう。

だけど俺はコートが欲しいのだ。
今日の風向きからしてコチラ側は有利なのだ。
最初のゲームを取ったとしても、コートの変わる2,3ゲームを連続で取られれば確実に向こうペース。
逆に言えば、俺等が向こう側から始めればペースを上手い具合に持っていけそうだ。
だから俺はコートを取りたいわけなんだけど・・・。



「じゃ、サーブで」

「お、お前、相談とかするだろ。普通!!」

「今日一日だけですから、何でもイイでしょう」



ズバッと言うたよ、こいつ!!
絶対俺のコト先輩だって思ってねぇよ!!
もー、どいつもこいつも俺に対しての態度がむかつくんだけど・・・っ!

まぁ、そんなに考えたって仕方がない。
俺は小さく溜め息をついたあと、前衛のポジション位置まで付いた。



「・・・兎に角!!」



パッと顔を上げた。
翔己と槐人のペアだろうが、簡単に負けたとなっては俺の今までの特訓も意味がない。
今は、試合に集中するしかないんだ。
そう。たとえ俺の相方が東雲でもだ。



「先輩・・・当たんないで下さいよ」

「うっせーよ、お前はっ!!」



お前のコントロールがよけりゃぁ当たらねぇよ!!

そう思いながら前を向く。
相手はNo.1。
勝てるか負けるかなんて、考えるまでもない。
だけど、こっちの後衛は期待の新人のうちの一人だ。
ただで終わると思うなよってんだ。



「・・ぅ・・・らっ!」



パシッと音がなった。
ボールはサービスラインギリギリで入った。
チラと審判を見ても、インの合図。
これは、かなりイイサーブだ。
だけど相手がこのサーブを返せないわけがない。
槐人はフォームを崩さずに確実に打ってきた。
流石だな、と思う気持ちと、相手にしたくないな、と思う気持ちが混ざった。

まぁ、今は相手だけどな。

槐人の打ったボールはクロスにいく。
俺はそのボールを追わずに翔己を見た。
こいつはいつ、どのタイミングで出てくるのか解らない。



「先輩・・・ボーっとして抜かれたら怒りますからね」

「誰がっ!」



打つときも余裕だな、後輩よっ!!

パァンと気持ちのよい音と共に、俺の真横をボールが抜ける。

・・・ちょっと、わざとこのコースに打ってきたよな、東雲!!
俺等マジでコンビネーションとか無理だと思う・・・。

そう思いながら次のボールを予測する。
相手は槐人。
あいつがどこに打ってくるなんて、俺には予想できない。
それでも無い脳を使って必死で考える。



「・・・!」



右、と感じて右側に出た。
俺の予感が的中して、目の前にボールがやってくる。
ニヤっと笑った俺はそのボールを綺麗にボレー・・・。


したつもりだった。

だが、俺のボールは簡単に取られて、俺の左側をボールが抜いていく。
このボールの速度と位置から、どう考えても・・・東雲は追いつかない。
てことは、これは俺の考えのミス。



「・・・ご、ごめん。東雲」

「・・・・べっつに、イーですよ。次はナイですけど」



東雲はそう言った。

こ、怖すぎる。
なんか、すっげーオーラが怖い!!

槐人とかも怖いオーラ出すけど、それとは違う。
なんか、マジで怒ってる感じのオーラっつーの?
こんな奴とよくペアを組んでられるよ、郁は。


はぁ、と小さく溜め息をついてから、また前を向いた。
その時に、フと槐人と目があった。



「んな簡単に心理読ませるわけねぇーっスよ」



ニィと笑んだ槐人。
あぁ、こいつ・・・。



「狙ってたのか?!!」

「あったりまえっスよ、陽平先輩の思考が馬鹿みたいに簡単なんで」



ゾクリと背中に鳥肌が立った。
あぁ、今の会話・・・東雲に聞かれてたな。
で、怒ってる。
俺の心理が完璧に読まれてたことを知って怒ってる!!



「俺・・・やっぱコイツとも組むの嫌だ」




















「先輩、本気でやってください」

「やってるっつーの!!」