ガコン、と音がして自動販売機からジュースが出てきた。
一つを取り出してまたお金を入れた。
そして、2本目も適当なジュースを選ぶ。



「・・・おしるこにするか?」



まぁ、そんなことをしたら俺の命が危ういからそんなことはしない。


結局、礼緒と洸のペアに俺等は負けた。
多分、4−2ぐらいだったかな。



「コーヒーでいっか」



ボタンを押すとまた飲み物が出てきた。


ミスが多かったのは明らかに俺のほうだった。
桧野の前衛攻撃は2分の1の確率で決まっていた。
俺はその桧野の攻撃の仕方に少し見とれてしまった。

それに引き換え、俺は全然駄目だった。
洸のボールに力負けした。
おかげで、ほとんど礼緒にボールを取られてしまっていた。



「・・・自信無くすっつーの」



自動販売機の中からコーヒーを取り出した。
そして、小さく溜め息をついた。



「・・・げっ」

「あ?」



何か、物凄い声が聞こえたんだけど。

その声に俺は立ち上がって後ろを向いた。
そこに居たのは槐人だった。



「どーも」



明らかに俺の機嫌が良くない事を解ってる。
だから、目・・・逸らしてるんだけど。
あーもう、こういうとき気まずいんだよ。
ま、そういうときこそ先輩力ってのを出さなきゃなんないんだけどな!



「槐人もパシリ?」

「あ、それはないっスよ」



キッパリ、と槐人は言った。

そうだよな。
お前はそんなことさせられるキャラじゃねぇもんな。
むしろ、郁とかを上手く使ってパシリにさせるタイプだ。



「じゃぁ・・・何?」

「そりゃー、飲み物買いに来ただけっスよ」

「え、お前が?自分自身で?」

「先輩・・・殴られたいんスか?」

「否、御免。嘘だから」



槐人の背後に何かが見えました。
俺、もうコイツに変な事言うの止めるべきかな。
怖いもんな、うん。



「ま・・・そのほかにもイロイロありますけどね」

「・・・へ?」



ぼそり、と言った槐人の言葉は俺には聞こえなかった。
だけど、俺の目の前にそびえ立つのは槐人で、後ろには自動販売機。
逃げられない事は、確かだった。



「え、な・・・に、槐人?」

「ホント、警戒心ないっスよね」



槐人手が俺の頬に触れた。
その瞬間、ゾクっと背中に寒気が走った。



「せんぱい・・・」

「・・・っ」



槐人の顔が近づいてきた。
俺は怖くなってそのまま目を硬く閉じた。


その瞬間、チャリンという音がなった。
俺はその音に気付いてゆっくりと目を開けようとしたときに、ガコンと大きな音がなった。



「任務かんりょーっと」

「・・・え?」



槐人はその場にしゃがみ込んでジュースを取り出した。
そして、すぐに立ち上がって缶を開けてジュースを飲んでいた。
俺はポカンとした顔で槐人を見ていた。
そんな俺の目線に気付いたのか、槐人は俺の方を向いてニヤと笑った。



「先輩、そんなにチューしてほしかったんスか?」

「ばっ・・・んなわけ、ねぇだろっ!!」

「どーだか?」



ニヤニヤ笑う槐人は何かムカつく。

お前、こういう系のキャラでもあったんだな!!



「あー・・・もうっ」



イライラする俺は、槐人の足を軽く蹴った。
ペシ、というぐらいの効果音が似合う。



「痛くも痒くもねぇっスよー」



ケラケラ、と笑う槐人。
そんな槐人を睨む俺。
俺ってホント弱いなって思う。



「あぁ、そういえば翔己先輩が探してましたよ?」

「翔己が?」



翔己が俺の心配をするなんて珍しい。
そう思いながら、缶ジュースを一つ開けた。

ちなみに俺のはサイダーだ。
いい加減飲まなきゃ、ぬるいサイダーになっちまう。
それをグイと飲んだ。
うん。まだ冷たい!!



「『あのアホどこ行ったんだー』って」

「あ、アホ扱いかよ」



結局は、そういうことか。

会話が止まった瞬間に、槐人が空き缶をゴミ箱向けて投げた。
コントロールはイイらしく、槐人が放った缶は見事ゴミ箱に入った。



「お、すげーじゃん」

「まぁ、俺ですからね」



へへん、とえばる槐人は高校生らしかった。
否、少し中学生が入り混じったような感じもしたんだけどな。



「ん、俺もやってみっか」



グイッと全てのサイダーを飲み干した。
一気に飲んだ所為でゲップでそう。



「陽平先輩に出来ます?」

「うん、きっと多分出きる」

「じゃぁ、俺は出来ないに賭け」

「賭け?!!」



負けたら、部活後のジュースを奢りと言う賭け。


俺は1回深呼吸をした。
そして、ゴミ箱目掛けて思い切り缶を投げた。
ガコッという音と共に、缶は無残にもコンクリートの上に落ちた。

あ・・・。
また、奢りかよ。




















「・・・そういやぁ、桧野先輩怒ってたような」

「お先にしつれいぃいいいい!!」