桧野壬。 俺のテニスのパートナーであり、翔己の幼馴染。 ちなみに留年した所為で2年生らしい。 だけど、俺・・・去年も一昨年もこんな奴の顔は見たこと、ない。 「・・・っ、あははっ!もー駄目っ、よーへー先輩って天然ー?」 「なっ、何でだよっ!」 ゲラゲラ笑う洸に俺は怒鳴った。 それでも洸の笑いは止まりそうに無い。 「あー、あれ・・・っ、も、槐人説明してよっ!」 「・・・俺が知るわけねぇっスから」 はぁ、と溜め息をついた槐人。 何だ槐人も知らないのか。 じゃぁ、俺と同類じゃーん! 「なー・・・洸もいい加減笑うの止めろよ」 ひーひー言いながら洸は必死に笑うのを止めようとしている。 だけど、なんか・・・ソノ姿がムカツク。 何、そこまで必死にしなきゃ笑いを止めれないわけ? 「・・・ごめ、なさい」 「笑って言うな、笑って・・・!」 ホント、いい根性してるよ・・・。 はぁ、と溜め息をついた俺。 そんな俺を見てくっ付いてきた洸は本気で謝ってきた。 俺が怒ってるとでも思ってたのか? ていうか、俺はそこまで心狭くないって。 「でも、よーへい先輩がジンのこと本気で知らないとは思わなかったよ」 「・・・何で?」 「だって、去年までは同学年じゃん?」 「そう、らしいけどさ」 「らしいって・・・ジンが可哀想」 キッパリと洸が言った。 確かに、桧野には悪いと思う。 だけど俺は本気で知らない。 1,2年と同じ学年だったのにも関わらず、知らない。 しかもあんな目立つ格好してるのに、だ。 「まぁ・・・確かに、多少外見は変わったけどー」 「・・・え?」 「あぁ、ジンって去年までメッシュ入れてなかったし?」 それを早く言え。 通りであの髪型には見覚えが無いはずだ。 しかしながら、あの身長だぜ? あの身長を見落とす俺か?!! 「・・・身長も、普通だったし?」 「ぇえ、嘘ぉ?!!」 「ホントだよ、今のよーへい先輩よりも小さいぐらいかな」 うーん、と考えながら洸はそんなことを言った。 ・・・高校生活で何があった、桧野。 「写真は無いから見せれないけ」 「あー、去年の写真とか翔己さんが持ってそうじゃないっスか?」 いきなり会話に入ってきた槐人がそう言った。 確かに、翔己はやたら写真やら写メやらを取りたがる。 記念だー!とか言って。 ・・・もしかしたら持ってるかもしれねぇ。 「・・・部活、終わったら聞こうかな」 「あっ、じゃぁ僕も見たい!」 「俺も見たいっスよ」 「・・・じゃ、追求してみるか」 んー、と伸びをしながらそう言った。 二人とも俺の意見に賛成らしい。 っていうか、洸は前のジンを生で見てたんだろうが。 わざわざ再度見るようなのかよ!! 「つーか・・・今日も桧野さん、来てなくないっスか?」 ボーっとコートの方を眺めた槐人がそう言った。 確かに、あいつはこの前一回部活に来てから顔を出していない。 俺、本当あいつの相方でイイのかよって思うぐらい。 「んー・・・しょうがないよ、ジンだし」 「「・・・は?」」 洸の言葉に、俺と槐人は間抜けな声を出した。 その声に笑いを耐える洸。 ・・・もう、笑うなよお前。 「あのね、ジンってすっ・・・ごい頭悪いの」 「・・・えっ」 否、あの格好で頭悪いって、まんま不良じゃん。 俺ってば不良とペア組んじゃった!?! ・・・監督、恨むぜ? 「で、毎日補習受けてるんだよ」 ケタケタ笑う洸。 ていうか、補習受けるのか・・・。 案外真面目なんだな、桧野って。 ・・・これじゃぁ、不良かどうか不明じゃんか。 結局のところ、どうなんだよ!! 「あ、でも・・・俺も桧野さんが補習受けてんの見たことあるっスよ」 「マジ?!!」 「監督と勉強してたから、化学の補習だと思うっス」 桧野が監督と補習? あの童顔の監督と、あの乾燥ナシっぽい桧野が補習だって・・・? いや、あの二人はどっちかっつーと禁断の・・・。 「ちがうっつーに!!」 「「・・・っ?!」」 俺がいきなり大声を出した所為で二人ともかなりビビってた。 とりあえず、二人に謝ってから俺は自分が思い描いた想像を消すように自分を落ち着かせる。 いくらなんでもソレはないだろう。 ていうか俺の思考回路もおかしくなってるな。 あはは、疲れがたまってんのかな・・・。 「っと、そろそろ行かなきゃ休憩終わっちゃうね」 「嘘、マジ?!」 「あと1分スよ・・・走ります?」 「・・・あー、翔己怒りそうだもんな」 俺がそういうと、三人同時に溜め息をついた。 そして、三人で競争しながらコートへ向かった。 ギリギリ間に合ったから翔己には怒られなくて、よかったよ。 「前でも今でも、ジンの写真なら何枚でも持ってるよー?」 「・・見せろっ!!」 |