「ってわけで、ミーティングはじめまーっす」 翔己の声が2年C組の部屋に響く。 監督は、2年C組の担任だ。 だから今年のミーティングはココですることになっている。 「監督、どーぞ」 「はーい」 監督と翔己ってどこか似てるよなぁ。 なんか、おっとりしてるとことか・・・。 「じゃ、今日はペアの発表するから」 そう言って、監督はポケットから紙を取り出した。 あの紙に全てが書かれている。 そう思うと、俺の心臓がバクバクとなりはじめた。 「まずは、『岬翔己』」 「はい!」 翔己は名前呼ばれたらかなりデカイ声で返事をする。 まぁ、それはイイことなんだけどな。 「・・・と、『小鳥遊槐人』」 ニィ、と監督の口角が上がったかと思うと予想外の名が飛び出した。 俺たちは皆一瞬固まった。 「小鳥遊・・・休みか?」 「え・・・あ、はいっ!」 ガタっといきおいよく立ち上がった槐人。 その椅子を動かした音に俺たちは我に返った。 まさか、翔己と槐人がペアになるなんて思ってもみなかった。 と、言うか1年と3年のペアが出来上がるだなんて、誰も思ってなかった。 「じゃ、次は・・・『有栖礼緒』」 「・・・はい」 右手を軽く上げた礼緒。 礼緒は前回、同い年のヤツと組んでいたらしい。 礼緒と組んでいたやつをチラリと見た。 ・・・やっぱり礼緒と組んでいたいらしくて、少し冷や汗をかいている。 まぁ、礼緒は前衛としてのかなりの仕事をしてくれるからなぁ。 「『咲原洸』」 「は、はいっ」 洸はいつもと違う声を出した。 洸的には意外だったのだろう。 だけど、返事をしたあとの洸はとても嬉しそうだった。 洸はきっと誰と組んでも嬉しそうな顔をするだろう。 それでも礼緒は別格だと思う。 多分・・・反乱するペアの一つとなるだろう。 「んで・・・・」 次々と名前を呼ばれていく。 だけど俺の名前は、一向に出てこねぇ・・・! 俺、一応3年生なんだけど!! ちょっとは考えて言えよ、監督。 「で・・・『夏目郁』」 「はーい!」 「と、『東雲柳太』」 「・・・ふぁーい」 東雲柳太は郁と同じ1年生だ。 だけど、俺とは関わった事がない。 まぁ、後衛だし・・・俺もあいつと話す機会ねぇから・・・・・だけど。 「・・・『巵陽平』」 「・・・・・・」 「巵ようへいっ!!」 「ふぁっ・・・は、はい!!」 「ボーっとすんな」 俺が変な声で返事をすると、皆が笑ってた。 そこまで変な声出してねぇじゃんか。 「・・・以上でしゅーりょうっ!」 「はぁ?!!ちょっ、ちょっと監督っ!」 俺は勢いよく立ち上がった。 俺、名前は呼ばれたけど、相方の名前を聞いてなけりゃぁポジションも知らない。 そんな状況でどうしろ、と? 「お、俺の・・・ペアの、ヤツは?」 「・・・聞いてなかったんだ」 はぁ、と監督が溜め息をついた。 ていうか、言ってたんだ・・・。 俺、聞き逃してたんだ!! 「しょーがないなぁ・・・じゃ、もう一回だけだよ?」 そう言う監督に、俺は頭を上下に振った。 そして、次に監督と目が合った。 「・・・ジンだよ、『桧野壬』」 その名前を聞いた瞬間、周りのメンツは固まっていた。 ていうか、俺を哀れな目で見てくる。 な、何故だ・・・! 何故そんな目で俺を見てくるんだ・・・っ! 「先輩、ジンの事知らないの?」 「・・・へ?」 頭の上から洸の声がした。 パっと見上げると洸は俺を見てニカっと笑んだ。 「まぁ、僕もあんま知らなかったけどね」 「すっげー有名じゃないっスか」 槐人も会話に入ってきた。 しかし、ジンと言うヤツは有名なのか? なら何故俺が知らない・・・! 「陽平に人の名前を覚えろって言うのが無理だよー」 「うっせぇよ、翔己!!」 「何、俺にだけつっかかるの?」 だって、翔己はつっかかりやすいし・・・。 槐人辺りにつっかかっても勝つ気しねぇもん。 「ていうか、去年まで一緒の学年だったじゃん」 「・・・誰が?」 「ジンが」 そう言った翔己の顔はいつもと違った。 何故違ったのかは、俺にも解らない。 「ま、いわゆる問題児なんだよねー」 ケラっと笑って監督は教室を出て行った。 「ま、頑張れー」 「・・・問題児、かよぉ」 |