「せやから、言うてるやろが!!」 郁の怒鳴り声が6時のテニスコートに響いた。 ただいま俺は居残り特訓ってやつをしている。 まぁ、この特訓も今日で3日目なわけなのだが・・・。 今の俺がスマッシュをコートに入れる確率は30%ほどだ。 ついでに特訓前は20%ぐらいだった。 「陽平先輩は体を横にせぇへんからあかんのやって!」 「うん・・・解ってる」 「あとスマッシュの時に腕伸ばせや!」 「・・・解って、ます」 「それとな。最後までボール見なあかんねん!!」 ・・・ホント五月蝿い。 否、俺のためだとか言ってくれてるんだけどさ。 何なんだろうな!! 郁がとーってもウザく見えるっつーの。 「しっかしまぁ、陽平もほんっと上達しないよね」 「ていうか、洸のロブが上手くなってますよね」 「確かに、洸先輩のロブすげぇ綺麗になってるスよね」 「え、ホント?!!」 「・・・・・・・・・・」 何これ何コレ!! 何故にイケメンファイブが全員残ってんだよ!! 何、そんなに俺の恥が見たいのか?!! 「って、陽平先輩聞いとんのか?!!」 「え・・・あ、わりっ」 「きぃ〜けぇ〜や〜!!!」 「うっわ、マジでゴメン!!ていうか、すみません!!」 何敬語になってんだ、おれ!! とりあえず、俺は郁に謝った。 微妙に不服そうだけど気にしねぇ。 「とりあえず・・・も一回フォーム確認な」 そう言われて、俺は素振りをした。 素振りだけは得意らしく、何も言われない。 言われたとしても少しの注意ぐらいだ。 そこから次の段階。 自分でボールを上げて自分で打つのだ。 これはファーストサーブと似たようなものだ。 「・・・・っ」 ふわり、と上がったボールを打った。 これも案外得意な方だった。 「それはもーちょい早くスウィングした方がえぇよ」 「はーい」 そして、2球3球と続けて打つ。 この時のボールのインの確率は80%。 「じゃ、そろそろやな・・・洸せんぱーい、ボール頼むで」 「らじゃー!」 ドクン、と心臓の音が高まった。 いつもそうだ。 この時、俺はいつも以上に緊張する。 「ウィーッ」 洸がボールを上げる合図の変わりに声を出した。 それと同じに、ボールがポォンと宙に舞った。 俺はソレを追うように横を向いて後ろに数歩下がった。 だがボールの速度が少し速い。 これじゃぁ届かないと感じその場でジャンプして、ボールを捕らえた。 「・・・ッラァ!!」 思い切り打ちつけたのにも関わらず、ボールは洸の隣に落ちた。 つまり、アウトの位置だった。 「・・・一応、上手くはなってるはずなんやけどなぁ」 苦笑しながら郁が答えた。 それでも俺のアウトはアウトなのだ。 翔己あたりがスコアをつけてくれてるだろうが、またアウトの文字が刻まれと思う。 「洸っ、入るまで打ってくんね?」 「何時間かかるかなー?」 「喧嘩売ってんのか、お前はっ!」 「あはは、うそうそっ!」 ケラリ、と笑った洸。 時々コイツは黒キャラなのかと思ってしまう。 否、もしかしたら黒キャラなのかもしれない。 「力むなや」 「わーってるよ・・・」 解ってる。 解ってるけども、力んでしまう。 多分自分自身で打てないと決め付けているんだろう。 そんなに決め付けているつもりはないのに。 「・・・ゥイーっ!!」 気合を入れなおした。 それと同じぐらいのときに洸がボールを打った。 また、さきほどと同じようなボールが上がった。 俺はソレを追う。 電気に被って一瞬だけボールを見失いかけた。 「・・・っ」 だけど俺の視力をナメンナよ。 視力は両目2.0だっ。 電気に被ったぐらいでボールを見失ってどうする!! 何のための良すぎる視力だっ。 「ざっ・・・けんなっ!!」 ブォン、とラケットが風を切る音が鳴った。 そう、風を切る音が鳴ったんだ。 「・・・よ、うへい・・・先輩?」 「・・・あ、あは」 「ぬぁーに、素振りしてんねんっ!!」 「や、これは不可抗」 「じゃかーしぃいいい!!」 郁の怒声がコート中に響いた。 俺はその後、郁に20分間グチグチ言われた。 その後はまた練習。 とりあえず、4球に1球ぐらいは入るようになってはきた。 確率は、少しずつ上がっている。 うん。少しずつ、な。 「俺、本間に陽平先輩の練習に付き合うててえぇんやろか」 「オイ」 |