「・・・んぁっ!」 バシュ、と音がしてスマッシュが決まった。 俺はその様子を真横で見ていた。 スマッシュを決めた奴と俺の目があった。 「・・・」 「上手いな、礼緒は」 「・・・どもっす」 ペコ、と頭を下げた礼緒。 そんな礼緒を横目に俺は少し考える。 俺はココ2,3日であることに気付いてしまったんだ。 とんでもない、事に。 そして、俺はコートの中へ入った。 スマッシュのポジションに立って前を向いた。 今日、ロブを上げてくれるのは・・・洸かよ。 「ようへー先輩には容赦なしだかんね!!」 「どうでもイイからロブ上げろよっ!!」 しまった。 おもっきりツッコんじゃったじゃねぇかよ!! ココは冷静に行こうと思ってたのに・・・。 これじゃぁ、洸の機嫌を損ねかねねぇっ!! ポーン、とロブが上がった。 俺はそのボールを追った。 「・・・もらったぁあああっ!!」 カツン、と言う音と共にボールが浮いた。 そしてボールは案の定アウトの位置に落ちた。 「うっわ、陽平ってば後衛行き?」 「うっさい!!」 ガルル、と俺は翔己を威嚇した。 翔己にも言われたとおり、今の俺では後衛になること間違いないだろう。 ボレーは普通に決めることが出来る。 だがしかし、スマッシュが全然駄目だった。 打点がオカシイと何度も言われた。 礼緒にまで言われた。 だけど、直りそうにねぇ。 「じゃ、今日の練習は終わりー・・・」 そう言って挨拶をしている。 そして皆で「ありがとうございました」とかなりデカイ声で言った。 その後、1年の一部がブラシかけに走る。 2,3年生はほとんど部室に向かっている。 そんな中、俺はその場から動かないでいた。 「どうしよ・・・」 本当は迷ってる暇なんてない。 一日でも多くの練習でスマッシュを出来るようにならなければ。 でなきゃ俺は 「前衛失格・・・!」 自分でそう言いながら四つん這いになった。 目からは涙が出そうだ。 否、でねぇけど。 いくら悲しいからって、そこまで簡単に涙は出ねぇよ。 「よーうへーせっんぱぁああああいっ!!」 やばい、と感じて俺は避けようとした。 だけど俺の反射神経はヤツの反射神経を上回る事ができなかった。 結果。俺は郁の下敷きになった。 「・・・っ、んだよ!!」 「嫌やな〜。陽平先輩の元気がなかったからちょっとタックルしただけやん」 「で、俺が倒れてんのおかしくねぇ?」 「や、それは陽平先輩が弱いんとちゃう?」 こいつっ。 俺のことを完璧に先輩だと思ってねぇだろ!! はっきり言って腹立つぞ? 否、はっきり言わなくても腹立つっつーの!! 「まぁ・・・練習あるのみとちゃう?」 「・・・何が」 「スマッシュの事で悩んでたんとちゃうん?」 キョトン顔が俺の目の前に来た。 俺はそのキョトン顔にキョトンとなってしまった。 いや、自分で言ってても意味わかんねぇ・・・。 「・・・槐人がな?」 「は?・・・槐人?」 『陽平先輩、スマッシュ出来なさ過ぎてウザい』 「・・・って、言ってたから、陽平先輩はスマッシュで悩んでるんやろなーって俺が解釈してん」 槐人・・・。 やっぱりあいつはそんなキャラだったか。 否、知ってたけどな。 ここまで言われるとは思わなかったっつーの!! 「ま、今日は俺が先輩に付き合ったるって」 「・・・は?」 何を、と言う風に俺は郁を見た。 そんな俺の顔を見てかどうかは知らんが、郁は笑った。 「べっつに、ラブ★の方の付き合うとちゃうで?」 「・・・ったりまえだっつーの!!」 そういうことを考えてたか、こんのくそ餓鬼っ!! 俺の頭の中じゃ、そういう方程式はねぇよ。 あったとしてもお前相手じゃねぇから!! 「本日、陽平先輩に夏目郁を貸し出しや」 「・・・はぁ?」 郁の言葉に首を傾げた。 貸す、と言われても・・・。 どういう意味に取っていいのかよく解らなくなる。 あ、いや・・・だから、さっき郁が言ってた意味に取るとかそういうんじゃねぇけどな?!! 「好きなよーに使ってくれたらえぇよ」 ニヘ、と笑った郁。 だけど、意味わかんねぇって! 「何、郁ってばマジですんの?」 ブラシを片手に、俺等の前にやってきたのは槐人だった。 ていうか、少々笑っているような気がするのは気のせいか?!! いや、絶対笑ってるよな?!! 何で笑うんだよ、槐人!! 「・・・槐人が言うたからやんか」 「ていうか、俺はむしろ礼緒先輩に見てもらったほうがイイと思う」 「何やて?!!俺じゃあ役不足とでも言」 「言うに決まってんじゃん」 きっぱり言った槐人の一言は郁の心にグサっといった。 ・・・郁、ご愁傷様。 「ま、俺も興味ありますし。今日は付き合いますよ」 そう言って槐人は俺に向かってニッコリと笑んだ。 郁を放り出して俺を見た槐人。 なんつーか・・・。 郁、ドンマイ。 んでもって、俺・・・生きて帰れるかなぁ。 「題して『陽平先輩、絶対スマッシュ打ってこー練習』やな!」 「・・・意味解らん」 |