「翔己・・・?」



ハズレか、と思い舌打ちした。
そして、誰も居ない部屋から出た。
確か部屋の名前は生徒会室だっけか?

生徒会。
翔己は副会長をやってるらしい。
会長は面倒だからヤダ、とか言ってたし・・・。



「どこ行ったんだよ・・・っ」



ずんずん、とローカを歩く。
適当な部屋の時計をチラリと見た。
時計の針が指す時間は4時8分。



「・・・4時、はっぷん・・・・・・っ?!!」



ヤバイと感じて、俺は走り出した。
とりあえず、まずは教室に鞄を取りに。
そして、その後はグラウンドまで一直線だ。



「・・・やばいやばいやばいっ!!」



物凄い勢いで俺はローカを走る。
多分、陸上部にスカウトされてもおかしくないと思う。

そんなに早く走ってたもんだから、ブレーキなんか途中でかけられるわけがなくて・・・。



「・・・ぅっ、わぁっ?!!」



ドフン、という効果音。
案の定、俺はある曲がり角を曲がった時に誰かにぶつかった。
そしてそのまま俺だけが後ろにしりもちをついた。



「・・・ってぇ」

「あ、すんませんっ・・・大丈夫っすか?」




フと顔をあげると、見たことのある顔が4つ。
その顔を見て一瞬俺は固まった。
そして、思い出そうと必死に回転を早めるとちゃんと思い出した。
あぁ、こいつらは確か・・・。



「イケメンファイブ・・・?」

・・・はぁ?



はっ、として口を塞いだ。

確かこの前、翔己がイケメンファイブってのがあると言っていた。
しかもその後にご丁寧に全員の名前と顔を教えてくれた。
俺は入ってなかったけど、翔己は入ってるとか言ってはしゃいでたなぁ・・・。

で、それが俺の目の前にいる奴。
名前は忘れたけどよ・・・。
って、何本人の前で言ってんだよ!!



「・・・先輩?」

「ひっ・・・あ、悪い、何?」

「否、何ってほどでもないんだけどさ・・・」




そう言って苦笑する。

っつーか、本当に格好イイ顔してんなぁ。
女の見る目はハンパねぇな。



「急いでたんとちゃうんですか?」



別の一人の奴にそう言われて、俺は何かを思い出した。
そうだ・・・。俺。



「やっべー!!翔己に殺されるっ!!」



否、あいつが行方不明なのが悪いんだけどさ・・・!
下手したらさ、あいつの事だから先に行ってるってことも考えられる。
そこで先に行ってたとして、俺が遅刻したってことバレてみろ。

・・・俺の命の保障がない!!



「有難う、少年たちっ!!」



バッと立ち上がると俺は4人の手を掴んだ。
そして、ポケットから出した飴玉を4人の手の中に入れ込んだ。



「・・・じゃ、失礼っ!」



そう言って、俺は走り出した。
目指すはグラウンド。
否、性格に言うとグラウンドの近くにあるテニス部部室だ。
全力疾走で走っても遠いものは遠い。
特に今日は遠く感じる。
何、これは俺に対する苛めか?



「くっそぉおおおお!」

「・・・何やってんの?」

「ぎゃぁっ!!」



ビクリ、と俺の肩が上がった。
そりゃぁもう、勢いだけは天まで届きそうなぐらいの勢いだ。
そして俺は俺に声をかけたであろう人物を見た。



「・・・しょ、しょうきぃいい?!」

「な・・・何、その驚き方」




俺の声にビックリする翔己。

っていうか、何故こうなる。
俺は翔己を探していたんだ。
その翔己はテニス部部室にいると思っていた。
だがしかし、今翔己は俺の目の前にいる。



「・・・何でココに・・」

「え、だって10分前だし、お前迎えに行こうかなーって」

「10分前?」



ちょっと待て。
集合時間は午後4時だ。
んでもって、俺がさっき見た時刻は4時8分だった。
・・・翔己の、勘違い?



「つか、しょーき?」

「ん?」

「今・・・4時過ぎてるよ、な?」


「・・・3時50分、ですが?」




そう言って、翔己は俺に腕時計を見せた。
確かに、時計が指している時刻は3時50分。
俺はすぐさま校舎の方の時計を見た。
その時計が指す時刻も3時50分。



「は、はし・・・って、損した」

「へ?・・・ちょっ、陽平?!!」




今まで全力疾走だった俺。
そんな俺の体力もココで限界だったらしく、その場に座り込んでしまった。

その後、恥ずかしながら翔己に肩を借りてテニス部の部室まで運んでもらった。

本当恥ずかしいよ。

ガチャ、とドアを開けて中に入ると数名の人。
つーか、あれか。
俺が最後だったんだろうな・・・。



・・・あ

「・・・・・・・あ!」



イケメンファイブ!!
え、嘘!?
まさかの再会かよ!
なんか嬉しいのか嬉しくねぇのかわかんないんだけど。



「4人は・・・コレと知り合い?」

「コレって言うな!!」




ガルル、と翔己を威嚇する。
だけど翔己は俺を無視。
ま、もう慣れたけどな・・・!



「まぁ・・・」

「まさかとは思いましたけど・・・」

「翔己先輩が言ってた人だったとか思わなかったけどねー」

「ちゅーか、テニス部やったんですか?」

「今日からね」



今日から俺の高校生活がまた変わる。
テニス部に入って・・・それから。
また、この学校に入るんじゃなかったと思うのは先の話。




















「じゃ、陽平は背が低いから後衛ね」

「はぁっ?!!!」