入るんじゃなかった、こんな学校。 そう感じたのは高校2年生の後半だった。 知恵者1人馬鹿万人 某教室の前で立ち止まる俺。 少し開いた教室のドア。 「・・・あ、ありゃ?」 ヤバイヤバイヤバイ・・・! 俺の目の前で今何が起こっているんだ? 否、ていうか・・・ぇえ?!! 「・・・せん、せぇ・・・ァぅっ・・・」 「・・・・・っ」 ちょっとちょっとちょっとぉおお! 何、禁断の恋ですか?! バッと自分の口を押さえた。 甘ったるい声に、俺の頬が赤くなる。 先生と制服を着た奴、つまり生徒がヤ・・・いや、キスをしてる。 人のを見たのは初めてで、耳まで赤くなる。 「・・・せんせっ・・人、く・・・るぅ・・・んっ」 「・・・・・っ」 「・・はぁ・・・ぁ」 ヤバイんでねぇの、マジで!! このまま、この場所でヤッちまいそうなんですけど・・・! え、興味あるけど、なんかヤダ!! ど、どうすりゃぁイイ?! 俺、こっからどーすんだよ・・・! そこで、キスの嵐に目が集中していたから、背後から人が来ていたなんて気付かなかった。 「・・・あ く しゅ み っ」 「ひんぅ・・・っ!」 ふっ、と耳に息を吹きつけられた。 その瞬間に俺は声を出しかけた。 だけど、それは俺の後ろから来た奴によって止められた。 俺が自分の手で覆っていた口を、さらに後ろの相手が手を覆ったのだ。 「ばっか、声出すなよっ!!」 しーっ、と小さな声で言う奴。 イヤイヤイヤ、無理だろオイ!! 後ろの奴の顔が解らなけれれば、耳元で囁かれてるんだ。 じっとするどころか暴れたいって話だ。 だけど、今暴れたところでヤバイことぐらい俺にだって解る。 あの2人に見つかったら・・・どうしようもない。 ゆっくりと俺を引きずって、あの2人がいる教室から遠ざかった。 「イイよー、もう喋って」 そういわれた瞬間に、俺は立ち上がって相手の顔を見た。 そこに居たのは、同じクラスの奴だった。 「み・・・岬?!!」 「ハァーイ」 ニッコリ、と笑んだ岬は言葉の語尾にハートマークなんぞつけている。 しかも手振ってる。 こんな間近なのに手振ってる・・・! って、そうじゃない!! 「な、何で・・・!?ていうか、おまっ?!」 「アハハ、巵ってば興奮しすぎ」 「ばっ・・・興奮じゃっ」 カァ、と顔が赤くなっていくのが分かる。 俺の様子がおかしいのか、岬はクスクス笑う。 くっそ・・・。 何か負けた感があるぞ。 「・・・なぁ?」 「・・・ん?」 「もしかして、タってる?」 ニヘ、と笑いながら俺に近づいてきた。 はぁ?!と俺が呆れ顔で岬を見た。 そ、そりゃぁ・・・さっきまであんなの見たけどよ・・・! そんな事を考えていると岬の手が俺のを掴んだ。 「ひっ?!」 「あれ、マジ?」 少し面白そうに笑った岬。 そのまま俺自身をやわやわ、と揉み始めた。 「・・・ゃ・・、あっ」 「・・・よろしい声をお持ちだねー」 「っ・・・何すんだ・・よっ!」 「うをっ?!!マジで怒んなよっ!」 俺が振りかぶった拳をいとも簡単に避けた。 バランスを崩した俺だったが、こける雰囲気でもない。 足をしっかり踏ん張って、ギッと岬を睨んだ。 「やっだなー、冗談冗談。俺、男に興味ねぇよ」 ケロっとした顔で俺を見る。 否、興味あるとか無いとかじゃなくてさ・・・。 「それに、ヤるならもっとイイ場所じゃないとさー」 アハハと笑う岬。 そんな岬を怒る気力もなくなった。 はぁ、と溜め息をつくと俺はその場に座った。 「あれ、俺の友達なんだよねー・・・」 「・・・へ?」 「だから、せんせーとチューしてたやつ」 そう言って、岬は俺の隣に座ってきた。 先程見た奴は、確かに男かと思った。 だけどその言葉に俺の思考は混乱する。 そうか、あれは・・・男に似た女だったのだな、と。 「お、女・・・だよな?」 「ん・・・?」 岬が俺の目を見た。 そして、すぐにニコッと笑った。 「お と こ」 「・・・〜っ?!!!」 ココは、杜沖高校。略してトオ高。 共学になったのは去年で、たしかに男子の割合が多い。 だけど、だからって・・・生ホモですか。 俺何か悪い事した? この学校を勧めた母さんを、俺は許さないと思う。 「ていうか、巵ってばあぁいうの初めて見た?結構いるよ?」 「いやぁあああっ!!」 |