「俺に喧嘩売りすぎだろ?」
56.あと5分、全力疾走
「はーあ・・・」
顔が歪む。
昨日、クッキーを貰ってから顔が引き締まらない。
家に帰ればねぇさんにキモいと言われ、学校では切原に気持ち悪いと言われた。
だけど、気にしねぇ。
だって、初めて貰ったんだし・・・!
「ほん・・・っと、キモイな、お前」
「五月蝿い」
今は教室に向かう途中。
朝練が終わって、切原と俺とで教室に向かっている。
「つーか、マジで俺って格好よい?」
「あー、そうだな」
「うんうん、やーっぱそーだよなー」
ニコニコ、と笑う俺。
あー。マジでこの幸せって何だろう?
不幸の前の幸せとか?
いやいやいや、違うよな。
毎日俺がイイ子だから、神様からのプレゼントだよなっ!!
「・・・あー、もう俺・・嬉しい」
「はいはいはい、わーかったから早く精神科行こうな?」
「何でだよっ!!」
そこまで切原に言われる筋合いねぇよ!
そう思いながら切原に怒鳴った。
だけど、切原は耳を塞いでいて、何も聞いていなさそうだった。
くそっ。ミッション失敗か。
「そういえばさ・・・」
「ん?」
「仁王先輩のクラスの転校生、見た?」
と、首を傾げて俺に聞いてきた。
確か、転校してきたのは昨日。
そして俺は、それらしき人を見ていない。
ニヤニヤしていない切原も、絶対確実に見てないんだろう。
「見てねぇよ?」
「気になんねぇ?」
「そりゃー・・・」
可愛い子だったら嬉しいし?
転校生は可愛く賢い、が常識・・・だと思う。
男でもそういうの多いし。
格好良く賢いとかスポーツ万能ってのがさ。
「なっ、昼休みにでも仁王先輩の教室に行かねぇ?!!」
「え・・・面倒」
「つか、今すぐ!!」
「・・・はぁ!?!」
俺等もうすぐHRですけど・・・!
あと5分もしたら始まるっつーの。
それに、今日は鍵当番だから職員室まで鍵を戻しに行かなきゃなんねぇし・・・。
なのにコイツは仁王先輩の教室まで行け、と?
そんだけ少ない時間で大量の事をしろと?!!
「よし、決定!」
「決定してねぇよ!!」
「イーだろ・・・よーい、どんっ!」
ぱんっ、と手を叩いた。
その瞬間に、切原と俺は走り出した。
って、何走ってんの、俺・・・!
手を叩く音を聞くと走るだなんて、部活でダッシュのしすぎだな。
あーもう、体が慣れちまってるよ。
そして、俺と切原は職員室まで走って鍵を置くと仁王先輩の教室までダッシュ。
途中で先生に見つからなかったのは奇跡じゃないかと思う、
「・・・っしゃぁあ!俺の、勝ちっ!」
「・・っ、おま・・・調子、よくね?」
「ったり、まえ・・・っ」
はぁはぁ、と息を整える俺たち。
周りの目が少々痛いが気にしない。
ていうかさ。
俺何も考えてなかったけど、ココ3年の校舎なんだよなー。
周り全員先輩だぜ?
ひーっ、怖っ。
「にっおーせ・・・あ、いた」
教室の後ろのドアから切原が先輩の名を呼んだ。
だけど、仁王先輩はかなり近くにいたから途中で切れた。
「何じゃい、お前等HR始まるぜ?」
ほら、あと1分と言って俺等に腕時計を見せた。
確かにあと1分でチャイムが鳴ってしまう。
「あのさ、先輩?」
「ん?」
「「転校生ってどの人?」」
ニッと笑みながら、俺等は仁王先輩の顔を見た。
仁王先輩はその言葉に一瞬目を丸くしていた。
だけど、すぐにその顔は変わった。
何か・・・楽しんでるみたいな顔にな。
「今はまだ来てなかよ」
「え、休みっすか?」
そう言って、不安そうな顔になる切原。
お前はそこまで気になるか・・・!
そう思いながら俺は切原を横目で見た。
「あー・・・多分、チャイム鳴ると同時ぐらいに来ると思うぜよ」
あの性格じゃしなぁ、と仁王先輩が言った。
わお・・・!
仁王先輩ってば、もう転校生のリサーチしたのかよ!
さっすがだなぁ・・・。
「5・・・4,3」
と、仁王先輩がカウントダウンを始めた。
そんなにキッチリ来るのかよ、とかなり疑った。
ていうか、俺的には信じてない。
だけどまぁ、チャイムが鳴ってから全力疾走で教室に戻っても間に合うだろうと思った。
だから、先輩のカウントダウンに合わせた。
「2・・・い」
ガラッ
仁王先輩が、「1」と言う前に、前方のドアが開いたようだった。
そして、俺と切原は一斉にそちらを見た。
だがしかし、そこに居たのは先生で、俺等は肩を落とした。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った。
ってことは、ゲームセットだ。
「先輩のうそつ」
「・・・セー、フ?」
先生のあとにヒョッコリと入ってきた人物。
その人物を見て、ニヤリと笑んだ仁王先輩。
その人物を見て、口を押さえた切原。
その人物を見て・・・。
「・・・ねぇさんっ?!!」
「・・・え、あ・・・?!!」
☆後書☆
はい、バレたー!笑
次は、ブっ壊す。ギャグ満載方向で行く!笑