36.巻き込まれて飲まれる以前のペース










ありえねぇと思う。
部活の先輩は俺とねぇさんがカップルだと思ってる。
っていうか、切原が誤解を解かせてくれなかったんだけどよ。



「・・・はぁ」
「何、溜め息?」



今、俺は家に向かって歩いてる。
さっきまで切原とか先輩とか居てたけど気付いたらねぇさんと2人きり。
2人きりって言えば何かワクワクする言葉だけど、今の俺にはそう思えねぇ。



「・・・あー。うん」
「やる気ないね」
「・・・っだから溜め息出たんだろ」



はぁと再び溜め息をついた。
そんな俺を不思議そうな目で見てくるねぇさん。
・・・何だよ、本当。



「にしても、面白いねぇ」



ねぇさんがハハと笑ってる。
そんなに面白い事が今日あったのか?
まぁ、俺にとっては面白くねぇかもしんないけどさ。



「何が?」
「ん?・・・勿論、ブン太とか赤也君とかジャッカルとか・・・」



ちょっと待て。
何で切原だけ「君」付けなんだよ?!
ある意味気持ちわりぃんだけど!!



「えと・・・何故、切原だけ君付け?」



少し間をとってから聞きたい事を聞く。
そして、ねぇさんはほんの5秒ほど考えた・・・んだと思う。
案外早くに返答は返ってきた。



「・・・赤也君だから?」



意味わかんねぇえええ!!
何で切原だからって「君」付けなんだよ?!!



「・・・さらに、疲れたような顔してるけど?」



大丈夫?と言って俺の顔を覗き込んできた。
俺の心配するまえに、ねぇさんの頭の心配をしたいよ、俺は。
とりあえず、適当に相槌を打った後に思い出した。



「あ・・・ついでだから言っとく」
「んー?・・・告白?」
「もうイイから」



何度目だよこんな会話。
ねぇさんからは告白しか出てこないのか、まったく・・・。



「俺と、ねぇさん・・・付き合ってることになってるから」
「・・・やっぱ告白じゃん」
「狽ソっげーよ!!」



もう、相手の頭をおもいっきり叩きたくなった。
けども叩かない。
これでも相手は一応女らしいからなぁ。
俺だって柳生先輩ほどでもないけども紳士っぽいところぐらいあるんだよ。



「んぁー・・・でも、意味わかんないもん」



プイっと俺と逆のほうを向いて不機嫌さを示すねぇさん。
うん、不機嫌なのは解った。
けど、何もそこまでしなくてもイイのに・・・。



「そこまで怒んなって・・・な?」
「目上の人には敬語でしょ?」
「姉弟だからイイっつったの誰だよ」
「・・・私でーす」



小さく手を挙げるねぇさん。
っていうか、覚えてたんだ。
俺はてっきり忘れてるのかと思ってた。



「って、そうじゃねぇんだよ」



危うくねぇさんのペースに巻き込まれて飲まれるとこだった。
そんなペースになったら話なんか成り立たねぇっての。



「うん。何?」



普通に聞いてくるねぇさんが嫌だ。
誰の所為で話がズレたんだよ。



「俺も状況把握は出来てねぇんだけど、丸井先輩が・・・」
「何、私のこと好きなの?」
「もう、黙っててくれてもイイから」
「ラジャー」



ビシっと敬礼した。
うん、そんな敬礼いらないからさ。
告白とかそういう系からいい加減に離れてくれよ!!
俺、いちいち訂正するの面倒だよ!



「丸井先輩が勘違いしてて、それを面白がった切原が勘違いを解かないでおこう・・・って」



とりあえず簡潔に話してみた。
そして、ねぇさんの方向を見たけど全然解ってないようだった。
否、今の説明で解って欲しいんだけど!!



「・・・解る?」
「・・・解ったら、私・・・天才」
「否、それは・・・」



違う、と言いかけて止めておいた。
何となくだけどな、なんとなく!!
別にねぇさんの顔が一変して怖くなったってわけじゃないから!!



「まぁ、兎に角・・・俺とねぇさんが付き合ってるっつー設定」
「・・・設定?」



さらにワケが解らないようだ。
敵はかなり手強いぞ・・・俺!!



「んー・・・なんつーか」
「ラブラブにしろ、と?」
「そこまで言ってない」



キッパリと言うとねぇさんは相当なショックを受けたらしい。
電信柱に手を置いてる。
あぁ、何かねぇさんの場所だけ暗いよ。
そんなことをお構いなしに俺は歩き始めようとした。



「・・・そんなに、否定すんじゃねーよぅ」



グスグスと泣きまねをしつつもそのまましゃがみ込んだ。
あー。もう俺知らない。
こんな事にねぇさんがなってしまったら俺はもう面倒見きれねぇ。



「だから、キモイって」
「うっさいな、弟のくせに」
「『くせに』・・・って何だよ」
「そのまんまの意味ですー」



あっかんべーをして、ねぇさんは走って行った。
これじゃぁどっちが年上だか解んない。
普通は年下の方があんな餓鬼っぽいことするんじゃねぇの?
・・・あんま、解んないけどさ。



「・・・これから、どうしよう」















☆後書☆
最後の君の一言・・・。
そのまま管理人が使ってイイですか?(わぁ)
展開に困る。毎回だけどな、ハハ。