「普通、気付いてるだろ」
11.お互い敬語でエンジェルスマイル
先生の声が大きくなったのは聞き間違いじゃなかった。
一個目の理由は、俺等の声が少し煩かったから密かに注意したかったから。
二個目の理由は、もうすぐ黒板に字書くぞってことを教えるため。
だから、俺は今回もノートは取った。
けど、切原・・・。
お前、寝てたよな、あからさまに。
「・・・眠」
欠伸を噛み殺しながら俺は教室へと向かう。
切原はチャイムが鳴ったと同じに教室へ走っていった。
・・・また、先輩の誰かにチクりに行く気か、アイツは。
「おや・・・君ですか?」
後ろから声が聞こえた。
聞き覚えがある・・・声。
「や、ぎゅう・・・先輩?」
恐る恐る後ろを振り向く。
そこにいたのは予想通り、俺の先輩の柳生先輩だった。
「何か、文句でも?」
「否、とくには・・・ナイですよ」
アハハと苦笑いする俺。
っていうか、愛想笑い?
否、苦笑いでイイか。
「それにしても、いつもよりもダラしない歩き方でしたね」
何時から俺を見てたんだ、この人は。
にしても、俺ってそんなにダラダラ歩いてたんだ。
まぁ、そりゃぁ・・・朝から色々あったからなぁ、うん。
「色々ありましたからね、朝から」
「・・・それは、大変でしたね」
俺の隣を柳生先輩が歩く。
いきなりだけど、俺思うんだよなぁ。
柳生先輩と話してるとどっちが先輩か解んねぇんだよ。
柳生先輩ってば敬語使うから・・・。
なんか、先輩に敬語使われるとテレるっつーか、何つーか。
「そういえば、柳生先輩、次移動ですか?」
先輩がこっちに来るのは珍しい。
来た時は大抵移動だと思うんだけど。
「否、私は切原君に用事があるんですよ」
あぁ、だから俺と一緒の方向に向かって歩いてるんだ。
すっげー、納得した俺は軽く頷いた。
・・・って、切原?
「あのー・・・柳生先輩?」
「何ですか?」
ピタと止まって俺は柳生先輩を見た。
っていうか、少々見上げなきゃならん。
先輩は皆大きすぎだからなぁ。
「・・・切原、3年の校舎に行ってません?」
俺はあいつが先輩にチクりに行ったんだと思ってたんだけど。
もしかして、教室に居るのか?
否、でもあの出て行き方は半端じゃなかったと思ったんだけど。
「いえ、私は見かけなかったので、コチラかと思ってきたのですが・・・」
すれ違いですかね?と顎に手を置いて考える柳生先輩。
そんな先輩を眺めつつ俺はとりあえず歩き始めた。
否、先輩も歩き始めたから歩き始めたんだぜ?!
先輩放っていくような真似だけはしねぇから!!
「まぁ、一度教室に行けば解りますよ」
「そっすね」
かすかに頷き、顔を上げた俺は、何かを見た。
否、見間違いであればよかったのに・・・。
「・・・〜っ?!!」
俺は確かに見たんだ。
さっきの授業、カッタルくて寝てた。
けど、目が覚めて窓の外を見たときに見えた人影。
制服じゃない服装。
女・・・。
あ、もしかしての姉貴?!
みたいな、思考回路。
「ちょっ・・マジで来てくれたのかよ?」
俺は嬉しいやら何か色々で期待は大きい。
っていうか、の姉貴かぁ・・・。
どんな人だろ。
前話した雰囲気だと生真面目じゃぁ無さそうだったけどな。
っああ!気になるっ。
ダダダダダ・・・
「うをっ・・・っ!」
勢い良く階段を降りてたら色んな人とぶつかりかけた。
でもまぁ、先輩は居なくてよかった。
先輩とぶつかりかけたら何言われるか解んねぇもんなぁ。
校舎が離れてて正解だな。
「・・・っと、あ?!」
「きゃっ!」
ドンッ
とうとうやってしまった。
走ってて、道を曲がったら人にぶつかってってやつだよ。
否、ここは道じゃなくてローカだけどよ。
とりあえず、顔を上げるとそこに居たのは学年一の美少女。
何時見ても、俺でもカワイイと思う。
否、そうじゃなくて!!
「すんません;;」
立ち上がるとすぐに頭を下げた。
女の方は俺の方を見て大丈夫、とだけ言ってくれた。
立てないのかどうか知らないけど、とりあえず手を差し伸べた。
何、俺は王子か?
「あ、りがとう・・・切原君」
ニコと笑んでくれた。
うっわー。エンジェルスマイルじゃねぇ?!!
これは惚れても可笑しくないって、なぁ!!
否、そうじゃなくて!!
「んじゃ、俺用事あるから」
マジで御免、ともう一度謝ってから俺は走った。
今は美少女に揺らいでる場合じゃねぇんだよ。
の姉貴を探さないと・・・。
「より先に、見つけねぇと、あの人帰りそうだしなっ」
★後書★
柳生君登場です。
2人とも敬語で喋ります。
んでもって、切原君。
健全な中2なら学年1の美少女にキュンてなると思うよ、うん。