「切原何処行ったんだ?」










10.前後の席は話が出来る










「ッ・・ハッ」



息を荒げて必死で教室まで走る。
途中で何度転倒しそうになったことか・・・!
っていうか、いつもはこんなに長くないのに今日は長ぇよ!!





ガラッ





「・・・お、く・・れて」



部屋を開けて一番最初に言うはずの言葉が途中で止まった。
勿論、理由は有る。
真っ先に俺の目に留まったのが切原だったからだ。



「お、お前っ!!」



俺が切原を睨みつけると、切原はニカと笑った。
しかも、手ぇまで振ってるよ!!
何、お前はスターか、ヒーローか?!!



、早く席につきなさい」
「あ・・・はい」



ペコとお辞儀をして俺は自分の席についた。
そして、切原の首を掴んだ。



「てっめ・・・ワザとだろ?」
「なにがぁ?」



くっそぉおお!!
すっげぇ、ムカつく!
切原だからって調子こいてんじゃねぇよ!!
ぁあ!もう・・・俺、コイツの椅子蹴ってイイ?
あ、テニスで倍返しされるって?
それは嫌だから、止めておこう。



「っつーか、どこ行ってたんだよ?」



コソコソと俺は切原に問う。
あぁと納得した切原は黒板をチラと一瞬だけ見た。
あ、まだノートは大丈夫。
あの先生は大抵、授業の後半で黒板にバーっと書くからさ。
前半は寝てても後半起きてりゃノートはいけるぜ。



「柳先輩んとこ」



切原は、ヘラと笑った。
しかも、無茶苦茶嬉しそうに。
そんな顔をするのはアレだ・・・。
何か俺に不都合な事をしてきたに違いねぇ。



「で?」
「・・・『で』?」



切原は俺の言葉を真似して言った。
まぁ、真似っつーか聞き返したって言った方が正解だけどな。



「だーから、何しに行ってたんだよ」



ワシャと自分の頭を掻いた。
何か、色々面倒なところがねぇさんに似てるよ、切原は。



「・・・・チクリ?」
「死んで?」
「嫌だ」



即答ですか、切原君。
俺は少しばかり悲しいような間隔に陥っちゃったじゃねぇか。



「っつーか・・・よりによって、柳先輩かよ」



俺はあの人がわりと苦手だ。
別に怖いとか・・・否、怖いけど、怖さなら真田副部長とか幸村先輩とかの方が上だ。
でも、柳先輩はオーラ・・・っつーか。
なんか、根に持ちそうで嫌っつーか、表情がよくわかんないから嫌っつーか・・・。
とりあえず・・・俺が柳先輩のこと苦手って知ってて、チクりに行ったな、コイツ・・・!



「何、お前部長に言って欲しかったとか?」
「・・・先輩はもう知ってる」
「狽、っげ、マジ?」
「マジもマジの大真面目」



ハァと溜め息をついて答える俺。
それにしても、切原は驚きすぎだ。
そりゃぁ、俺だって幸村先輩にバレたら呪われるかもしれないって思ったけどよ。
案外、あの人も普通なんだよ、うん。



「っつーか、何で柳先輩が苦手なんだよ?」



切原は、チラと黒板を見つつ聞いてきた。
俺は切原のその問いに数秒間考え込んでしまった。
否、だってどう言ったらいいのか・・・。



「んー。とりあえず、表情読めねぇじゃん?」



あぁ、と軽く納得をしてくれた。
うん、やっぱり柳先輩の表情を読むのは死難の技なんだな。



「あと・・・何だろ」
「・・・殺気?」
「否、ないって」



切原、お前は柳先輩が殺気を持っていると言いたいのか。
この先輩不幸者めっ!!
俺が成敗してやろうか?!
・・・否、返り討ちにゃぁ合いたくねぇ、か。



「じゃぁ、何だよ?」



ぶすっとした顔で俺を見る切原。
その問いに、俺は頭を整理しようとした。
だけど、上手く整理できなかった。



「・・・解んねぇ」
「うっわ、最低」
「意味解んねぇから、それ」



右手を横に振って、否定しつつ言う。
否、俺も意味解んねぇから!!



「・・・で、あるからしてー」



フと先生の声が聞こえた。
バっと前を見ると、まだ黒板にゃぁ文字は書いていなかった。
けど、気持ち声が大きくなったような気がした。
気のせいか・・・?



「なぁ・・・?」
「ん?」



切原が先程よりも小さな声で話しかけてきた。
俺は切原の口元に耳を近づけた。



「・・・センコー、気付いてんじゃね?」
「何?」



意味が解らなくて俺の眉間にシワがよった。
でも、これは切原からは見えていない、はず。
うん、多分だけどな。



「俺等が会話してること」
「否、それは普通気付いてんだろ、普通」















☆後書☆
とりあえず・・・何会話ですか、君等。
書いてる自分ですら、馬鹿だなぁとか思ってたよ。