「・・・・ふぅーん」










09.移動時間の数分間










切原が俺を疑いの目で見てる。
正直に言うと、かなりウザい。
っていうか、見すぎ。
俺は見られすぎ。



「俺にだって間違いぐれぇするんだよ」



間違いっつーか知らなかったんだけどよ。
っていうか・・・俺、マジに連絡聞いてないような気ィすんだけど。
何時、連絡回ったんだよ。



「・・・と、言うわけだからなー」





キーンコーンカーンコーン





先生が言い終えると同時に、HR終了のチャイムがなった。
・・・あ、俺、今日は何も聞いてねぇじゃん。
あとで、隣の奴に何言ってたか聞かねぇとな。



「うっし!!」



ガタンと席を立ち上がった。
否、俺じゃなくて切原な?
俺は、机の中を漁って、1時間目の授業の用意をする。



「んぁ?切原どっか行く?」



机の中から教室へと目線を戻した俺。
その時に、切原が1時間目の用意もせずに何処かへ行こうとしているのを見た。
だから、俺は問いかけた。



「あー・・・うん、ちょっとな」
「早く戻って来いよ、次移動だから」
「・・・へーっい」



一瞬、切原が笑んでいたように見えた。
まぁ、そんな事よりも・・・。
切原を待っていれば、確実に俺は鍵を閉めなければならない。
かといって、切原を待っていなければ、怒られるかもしれない。
一応、この授業は移動を一緒にしてっからなぁ・・・。



「・・・悩む」



ポツリとそう言って、俺はその場に立ち止まっていた。
途中で友達が「まだ行かねぇの?」とか聞いてきたけど、それには軽く頷いただけだった。
そして、迷っている間に時間は過ぎて、授業開始3分前。
いまだ、切原は戻って来ない。



「早く戻ってこいよ!!」



誰も居ない教室でそう叫んでみた。
否、それで帰ってきたらスゲェよな、うん。
しょうがないから、俺は部屋を出て教室の鍵をかけた。
授業まで残り2分30秒ぐらいってか?





ガシャン





学校の鍵って閉めるとかなり大きい音がする。
これって一種の学校の不思議じゃねぇの?



「・・・?」



俺の後ろから声が聞こえた。
バッと振り返ると、そこに居たのは我等が部長。



「・・・・・ゆ、幸村先輩」



吃驚して、最初は声が出なかった。
それでも、幸村先輩はにこやかに笑んでくれた。
こ、この笑顔をどう取っていいのか俺には分かんねぇ!!



「次、移動?」
「え・・・あ、はい」



軽く頷くと俺は幸村先輩の質問をそのまま返した。
そしたら、幸村先輩は少し笑うと散歩みたいな事を言った。
否、校内で散歩なんかしないで下さいよ。



「ところで、今日は珍しく・・・」
「忘れてたんです、スミマセン」



即答で言ってやった。
そのくらい、今の空気には耐えられない。
え?意味不明だって・・・・?
否、俺も自分で言ったことちゃんと解ってないから許して。



「へぇ・・・でも忘れる事があるんだ」



珍しい事でも聞いたかのような顔をする幸村先輩。
そ、そんなに珍しいのか、俺の物忘れって・・・。



「あ、そうそう・・・」



幸村先輩は何かを思い出したかのように手をポンとした。
そして、持っていたクリアファイルの中から一枚のプリントを出してきた。
それを俺に渡す。
俺はまじまじとそれを見た。
今後の部活の日程表だった。



「皆には朝練の時に渡してるから」



ニッコリと笑んだ幸村部長。
否、だからその笑顔を俺はどう取ってイイのか解んねぇんだって!!
とりあえず、俺もニコと笑んでみた。
我ながらキモイと思うよ、今の顔。



「・・・・・あ・・・明日って」



明日の項目を見ると普通の部活になっていた。
確か、この前までは明日はどこかの中学校と練習試合って聞いてたんだけど?



「あぁ。氷帝に都合が入ったらしくてね」



練習試合がなくなったらしい。
これでも結構楽しみにしてたんだけどな、練習試合。
まぁ、俺はそんなに強くねぇから試合数も少ないんだけどよ。



「へぇ・・・そっスか」
「フフ、そんなつまんなさそうな顔しないの」



幸村先輩はクスクス笑って俺を見る。



「へ?・・・あ、そんなにつまんなさそうでした?」
「うん、とっても」



まだ、クスクスと笑う幸村先輩。
俺はそんな幸村先輩につられて軽く笑ってしまった。





キーンコーンカーンコーン・・・





そんな時、チャイムが鳴った。
ん?チャイム・・・



「って、ぁああ!!俺、移動だったし!!」



まだ、ドアに突き刺していた教室の鍵をすばやく抜いた。
そして、幸村先輩に適当な言葉を残して、ローカを走っていった。
幸村部長がローカを走るな、と言っていたが、俺はそれを聞き取る事ができなかった。



「っつーか、切原・・・アイツ何処行ったんだよ?」















★後書★
部長のご登場で御座います。
誰を出すか迷った挙句に部長サン。
なんか、イイ具合に話が進んでるかも(ぇぁ)