全力疾走で、トイレまで走った。
あと少し。
次の角を曲がればトイレに入れるってところで。





どんっ





誰かにぶつかった。


「ってて・・・すんませ」


声が止まった。








ラプソディ  −そんなコト−








だってそりゃぁ、ぶつかった相手が探してた相手だもんな。

獄寺だもんな!!

俺の顔を見た瞬間、獄寺の顔色が変わった。


「って、逃げんなぁあああああっ!!」


ぐわしっ、と獄寺の腕を掴んだ。

危ない。
もうちょいで逃がすところだった。
俺が走ってきた意味がなくなるじゃんかよ。


「ごく・・・でらっ」

「・・・ん、だよ」

「お前に、話・・・あん、だけど」


僕なりに最上級の笑顔を獄寺に向けた。
そうしたら、獄寺は僕から顔を背けてた。
でも、そんなの気にしている場合じゃない。
とりあえず、2人でいれる場所を探さなきゃ駄目だ。
と、思った瞬間に、獄寺がそのまま歩き出した。


「ちょ・・・ごくでっ」

「話あんだろ、部屋行くぞっ」


最後の方にボソっと何か言ってたみたいだけど、聞き取れなかった。
それから、獄寺は迷いもせずに一つの部屋へ行った。


「ココ、今日・・・俺と10代目とリボーンさんの部屋なんだけどよ」

「・・・いや、ツナいたら」

「多分、買出し中」


さっきメール入ってた、と言われて安心して部屋に入った。
パタンと閉まったドア。
目線の先には獄寺の背中。

言わなきゃ。聞かなきゃ。


「あのs」

「ごめんっ!!!!!」


わぉ!!


じゃないじゃない!!
んなびっくりしている場合じゃないんだっつーの。


「え、と・・・それは、何に対して謝って?」

「え、あ、そりゃ・・・ぁ」


獄寺が僕と目を合わすとすぐさま目を逸らした。
しかも、顔が真っ赤だ。
真っ赤・・・。
あはは、絶対あれだよね。


「ははは・・・見た、んだよね」

「・・・」


返事なーっし!
ってことは、確実じゃん。


「う・・・っ、もう嫁に行けない」

「はっ?!!え、いや、でもそんな凄いもん見てねぇから!!」

「はぁあああ?!!!何、じゃぁ獄寺は僕の胸が粗末だと?!!!」

「んなっ?!!!」

「うぁあああああ!否定しないー!!!」

「ばっ、おま・・・違うっつーの!!」


いいんだいいんだ!!
どうせまだまだ餓鬼ですとも!!
でもな、そのうち成長するからな。
僕だってまだまだ成長期だっつーの!


「んなことよりよ・・・」

「そんなこと・・・?」


僕の胸がそんなことって・・・。
酷くないか?
獄寺を睨みつけると凄く困った顔をしていた。

さて。そろそろ苛めるのも止めにしようか。


「・・・で、獄寺は何が言いたいの?」


ちょっとだけ獄寺よりも上な位置から言ってみた。


「あ、あぁ・・・お前さ、これから先どうすんだよ?」

「・・・先?」

「お前、今の状況解ってんだろ。お前レベルで生きてける世界じゃねぇんだよ、ましてや女・・・」


どういう、意味だよ。

確かに。
確かに僕は弱い。
それに戦う素質なんかこれっぽっちもないと思う。
リボーンも何故僕に頼んだのか解らない。
だけど、リボーンは僕の名を呼んだ。


無言で獄寺に近寄った。


「な、なんだ・・・」


ぐっ、と獄寺の服の襟を掴んだ。
そしてギリギリまで顔を近づけて睨んだ。


「性別よりも、結果だろ?」


不安もある。
だけど、まだ大丈夫だ。
僕の知っていることしか起こっていないんだ。
それに、骸さん達に会うのも怖くはない。
一応、顔見知りだ。
だから、まだ危険とかは、ないと思う。


「・・・解ってんじゃねぇかよ」

「僕だって、リボーンに推薦されたヤツだよ」


ぱっ、と僕の手が払われた。
払われて行き場の無くなった僕の手。
その手を僕は軽く振った。


「でも、」

「・・・ん?」

「あ、あんま・・・無理すんなよ」


獄寺の顔を見ると、顔が真っ赤だった。
獄寺が人を心配するのを始めて見た。
あ、ツナとリボーンは例外でな。
でも、それよりも・・・。


「獄寺・・・」

「何だよ・・・?」

「お前、可愛いなっ!!」


がばっ、と抱きついてやった。
そうすると、獄寺は一瞬固まってた。
僕は内心笑ってた。
その時に、ドアが開いた。


「「「・・・あ」」」


ドアを開けたのはツナ。
僕は今獄寺にくっ付いている。


「え、あ・・・ごめんっ!!」


ばんっ、と勢いよくドアが閉まった。
勘違いされたかもしれない。
だけど、それはそれでオイシイんだけど・・・ね。


「じゅ、十代・・・てっめー、いつまでくっついてんだよ!」

「あははー、ツナは勘違いしたかもね。獄寺がホモって!」

「んなーっ?!!!!」


獄寺の態度が変わった。
やっぱり性別が違うと態度が違うらしい。
にしても、ツナに僕が獄寺好きだと思われるのは嫌だなぁ・・・。
ツナに近づけなくなっちゃうじゃん。