「あ・・・いたいた」
手をブンブンと振って相手に自分を分からせようとする。
すると相手も少しだけ手を振り返してくれた。
「ねぇ・・・切原は?」
「あぁ、赤也なら」
そこで柳は言葉を止めた。
それと同じに自分の後ろの方を指差していた。
は目を凝らして後ろの方を眺めていると、遠くから黒髪の少年が走ってきた。
「もうっ、柳先輩酷いっス・・・あ、先輩チワッス」
ヘラリと笑ってに挨拶をするのが後輩の切原だった。
後輩の中でも唯一のレギュラーの切原は3年レギュラーとも仲が良かった。
それに、3年のマネージャーとも仲が良かった。
適当に挨拶を済ませたは早速本題に入るために柳の方向に向き直った。
そして、自分が今何をしていたのかを説明する。
「まぁ、柳君は来るって解ってたけど、切原がね」
チラチラと切原を見つつ答える。
そのの行動に気付いた切原は不服そうだった。
その証拠として、切原の頬が少し膨れていた。
「まぁ・・・そう怒らないでよ」
アハハと軽く笑って流したは切原の頭をポンポンと軽く叩いた。
すると切原は「子ども扱いしないで下さいよ!」などと言って、さらに不服そうになった。
第三弾
タオルとの戦い
「・・・・」
ザァアアア
一人の女が水道の水を出しっぱなしにしていた。
そして、その近くにあった大量のタオルをカゴから必死に取り出している。
「ん・・・でな、い」
必死に引っ張るが出る気配は全くない。
下手に引き抜けばタオルがその場にばら撒いてしまう事になってしまう。
「どうしろ・・・っての、かなー」
タオルの山と睨めっこを始める。
ポンポンと叩いてみたりしてはみるが、1枚1枚取れるわけでもない。
ハァと小さな溜め息をついた。
「・・・どうした、マネージャー?」
「ん・・・あ?」
タオルから目を離し、声のした方を見上げる。
そこにいたのは、少しだけ自分よりも背の高い男の子、柳蓮二だった。
は、その男の子の名を知っていた。
「・・・柳君、だっけ?」
「あぁ・・・」
柳はかすかに頷いて見せた。
その答えに、は少しホっとした。
「それで?」
「あ、うん・・・タオルがさぁ」
抜けないことを話した。
すると柳がタオルの傍まで行った。
そこで、どうするのかとが不安そうに見ていると、柳は上の方のタオルをそっと抜き取った。
「え?!・・あ、嘘?!」
ポンとの手にタオルは置かれた。
案外、あっさりとタオルが取られた事には混乱していた。
「隙間・・・」
「は?」
「隙間が、あるだろう?」
そう言った柳がタオルのほうを指差した。
もよく見てみると、そこにはほんの小さな隙間。
だがしかし、タオルの山を崩さずにも抜けそうだった。
「ホント・・・だ」
ボーっとそのタオルの山を見ていた。
すると、柳が立ち上がった。
「良く物事を見ることが大切だ」
「ど・・・どうも」
が感謝すると、柳はフと笑った。
柳の笑う姿を初めて見たは、小さな発見をした感があった。
ボーっと柳を眺めていると、柳は首をかしげての名を呼んだ。
「あ、ごめん。見とれてた」
「・・・・はぁ?」
「柳君でも笑うんだなぁ、と」
その一言に柳は吃驚し、少し目が開いた。
が、すぐに目を閉じて、軽く笑った。
「俺よりも、弦一郎が笑う方が珍しいぞ」
「げん・・・あぁ、真田君か」
確かに、と柳の言ったことに納得したも小さく笑った。
サァアアア
先ほどから開けっ放しの蛇口。
そこから、先程よりも多くの水が出てきた。
「・・あ、うわっ・・・ちょっ、!!」
先に気付いたが蛇口に近づいたが、返り討ちにあってしまった。
の体操服はグチョグチョになり、自体も水まみれだ。
きゅっきゅっ
そうとなれば怖いものもなしで、は何のためらいもなく水を止めた。
「あー・・・最悪」
前髪をかきあげて蛇口を睨んだ。
「自業自得だな」
「蛇口の所為だよ」
振り返って柳に言う。
そんなを笑って見てるも、柳もそろそろ練習へ戻らなければならない。
「まぁ・・・がんばれ」
最後にそう言って、柳はコートの方へと走っていった。
「言われなくても」
最後にポツリと聞こえないであろう柳に答えを返した。
そして、自分を振り返る。
体操服はビチョビチョで、下着が透けている。
それでも、洗うべきものは大量に残っている。
「・・・とりあえず、洗濯物かなぁ」
その格好のままで洗濯物全てを洗い終え、全てを干した。
部活が終了となる時間には、の着替えはとうに終わっていて、洗濯物全ても乾ききっていた。
後書
3話目遅いよ!!
やっと、書けた。
やっと・・・!!