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高樹さんの10年ぶりのエッセイ集。『妖しい風景』以来の6冊目のエッセイ集ということになる。今回のエッセイ集のタイトルにもなっていて、巻頭を飾る「花迎え」という作品は、よみうり読書 芦屋サロンで読まれた掌編小説であるが、そうした理由について高樹さんがあとがきで述べていることが興味深い。
恋愛や旅、映画や本について、時には政治や経済について高樹さんらしい視点で語られることは、同時代の時評として第一級の価値を感じられます。
『甘苦上海 完結編』(日本経済新聞出版社)\2200+税
昨年10月日本経済新聞朝刊に連載され、連載と同時進行の形で四分冊出版された『甘苦上海』に、全面的に加筆改訂された完全版。ほとんとすべての文章を改稿したと高樹さんがあとがきで述べているように、冒頭のシーンから全く違った印象の作品に仕上がっています。連載時の人生最後の恋の結末は曖昧なままでしたが、こちらではまた別の結末が用意されています。作者としてどう思われるか難しいところですが、二つの『甘苦上海』を読み比べる楽しみがこの作品にはあります。
『ショパン 奇蹟の一瞬』(PHP研究所)\1300+税
高樹さんがショパンとサンドの愛の足跡を辿って、マヨルカ島、ノアン、パリへと訪れ、その創作の原点に触れ、作家の目で物語を紡がれたCDブック。アシュケナージとアルゲリッチのショパンの演奏のCDがついてこの値段は、本当にお買い得だと思います。写真もふんだんに使われて、ショパンをめぐる旅行記として読むこともできると思います。一家に一冊、ショパン生誕200年に当たるこの年に、プレゼントとして贈られてみてはいかがでしょうか?