民主党圧勝


第45回衆議院選挙は、事前の新聞報道の予測どおり民主党が圧勝して308議席を確保した。公示前の議席は115であったから、3倍近くも勢力を伸ばしたことになる。一方自民党は300議席から119議席に減らして、まるっきり逆転。これが小選挙区制度の威力ということだろうが、今回の選挙ではこの選挙制度の問題点が浮き彫りにされたように思う。

比例区近畿ブロックでは民主党が13議席を獲得したが、重複候補者が大幅に小選挙区で当選したために名簿記載の候補者が2名足りなくなり、自民党と公明党に1議席ずつ譲ることになった。候補者数を確保していなかった民主党の責任かもしれないが、これがまだ社民党や国民新党など連立を予定している党ならまだしも、対立政党に議席を譲るという事態は、投票者の心情的にもおかしい。また結果としては、有権者の意志を無視することになり、制度的におかしい。

候補者名簿の件では、比例区東海ブロックではみんなの党が獲得した議席が、小選挙区での得票数が10%に満たなかったために、民主党に議席が譲られている。しかもそれによって当選した磯谷さんは、政治経験が全くなくて、公示15日前に友人の参議院議員から名簿登載の依頼を受けて書類を提出しただけという。つまり選挙活動もいっさいしていないということだろうから、ますます、みんなの党の支援者たちは、自分達の投票がこの人に流れていったことに釈然としないだろう。

小選挙区で落選したけど、比例区で復活当選した候補者も目立った。当選した本人や支援者にはありがたいこの制度だが、やはり釈然としない。

もともと小選挙区制度では死票が多くなるので、最終的に選出された議員数がそのまま民意を反映しているかどうかと言う点では疑わしい。また国政を任せる議員を選出するのに、あまりに小さく選挙区を区切ってしまうことにも問題がある。まるで市会議員選挙のようだ。それらを緩和するために比例代表と併用しているわけだが、それでさえブロックに分けているので、上記のようなちぐはぐな結果が生じている。

全国レベルでの得票数が、NHKをはじめ、どこを探しても見つからない。選挙区やブロック毎の集計はNHKにあるが、それ以外の報道では掲載さえされていない。新聞の夕刊にも全国集計が載っていなかった。

自分で集計するしかないかと諦めていたら、ウィキペディア時事ドットコム のデータ(選挙区比例代表 )を掲載していた。

比例代表と小選挙区の得票率は以下のとおり(Wikipadiaより)。



民主党:比例代表(42.4%)小選挙区(47.4%)議席数合計308(64.2%)
自民党:比例代表(26.7%)小選挙区(38.6%)議席数合計119(24.8%)
公明党:比例代表(11.4%)小選挙区(1.1%) 議席数合計 21(4.4%)
共産党:比例代表(7.0%) 小選挙区(4.2%) 議席数合計 9(1.9%)
社民党:比例代表(4.2%) 小選挙区(1.9%) 議席数合計 7(1.5%)
みんな:比例代表(4.2%) 小選挙区(0.8%) 議席数合計 5(1.0%)

得票数と議席数に大きな乖離があるのは明か。そういう前提でこの選挙制度が導入されたわけだが、2大政党が政権交代を前提として存在する場合、議員数の振れ幅が大きすぎるように思う。

それにしても、公明党の得票率が比例代表にくらべて小選挙区で極端に低いのが気になる。逆に自民党は比例代表よりも小選挙区での得票率が高い。
小選挙区では自公の共闘態勢が徹底されて、公明党票が自民党票になっているということだろう。



ところで、今回の選挙でもテレビや新聞などのマスコミが大きな影響を与えたらしい。らしい、というのは、最近テレビをみる習慣がなくなってしまったので、今回の選挙では、事前にテレビ報道をまったく見ていなかっただ。投票終了後のネット上のコメントをみていると、マスコミの影響がおおきいという意見をよく目にする。

テレビを見ないといっても、NHKの開票速報は見た。番組が始まった直後、民主党の当選確実の数字がスロットマシンのようにいつまでも回り続けて止まらないのがおかしかった。


火 - 9 月 1, 2009   06:29 午前