友人の死


友人の夫が亡くなった。享年44歳。あまりにも若すぎる死に、呆然とした。子どもはいない。友人と言っても年賀状をやりとりしているだけなので、彼の死を知ったのは訃報ではなく、喪中のお知らせだった。

なんといって慰めたらいいのだろう。ことばが浮かばない。言葉を発すれば、空に舞ってしまいそうだ。

友人は、最近CS放送で人気の海外ドラマの吹替えの台本を書いていて、注目度の高い翻訳家といったところ。結婚してから始めた翻訳家の勉強も、ここまでくれば本物だ。もともと映画好きな人だけに、さぞかし楽しいに違いない。

17年前、彼女と出会った。彼女の音楽との関わりは深く、小学生のときにはカラヤンを生で聴いていた。そんな彼女のジャズの話はとても興味深く、とくにブランフォード・マルサリスにサインをもらった話は、まるでその場に一緒に居合わせたかのような錯覚におちいるくらいリアルな描写なのだ。すっかり魅了されてしまった。

再会したのは、数年経って双方とも結婚したあとだった。広島に出向くことになった彼女に、マイルス・デイビス好きの彼女の夫が、せっかく大阪方面に行くんだったら会ってこいよと言われたらしい。それ以来、彼ともずっと親しく交友があってような気になって、毎年夫婦と犬の写真の年賀状が楽しみだった。

その彼が亡くなった。ご冥福をお祈りします。


火 - 12 月 26, 2006   05:47 午後