クリスマスカンタータ


恒例のクリスマスカンタータの上演。今年も照明監督、もう10年以上になるのではないか。昨年は実質的にランランにまかせて、私は調光卓を離れて、器具の微調整をおこなった。昨年の照明は美しかった。データが保存できなかったのが惜しまれる。

ランランが卒業したので、調光卓を操作できる学生がいない。と思っていたら、願ってもない人材が名乗り出てくれた。ランランと同級生で仲良し、でも1年間留学してたので卒業が1年遅れ。昨年、ランランが各シーンの調光してたのにもつきあってたし、データを保存しようとしたがマシンの不具合で破棄されてしまった現場にもいわせた。

ゲネプロのときから、調光卓の操作は彼女に任せた。卓の操作そのものは初めてだが、呑み込みが早く、機転と融通が利くので安心して任せられる。さらに、それぞれの照明担当者もそれぞれに機転と融通が利くので、すっかりお任せモード。1階のスポットライト担当者にいたっては、最後に注文通り見事なスポットを当ててくれて感激。少数精鋭メンバーにささえられて、舞台袖からの照明の微調整など、雑用係としての照明監督に徹することが出来た。

しかし調光データは、ずっと以前に私が入力したものを再利用。数年前から発色がおかしい気がするのは、私の感性が変わったのか、照明器具のゼラチン(カラーフィルター)を新調したからなのか、わからない。とにかく、淡い中間色でつくったはずなのに、とつぜんサイケデリックなどぎつい配色のシーンがある。

ゲネプロの時は気づかなかったが、リハのときにそのどぎつさに驚いたので、本番では急遽手動で修正した。本番の一部のシーンでホリゾント照明がちらついたのはそのせいだ。多少揺らぎがあっても、どぎつい色のままよりマシだと思った。

たとえば、ピンク色のホリゾント。ほんとうは夜明け前の薄紫にしたかったのではないか、とおもって赤のレベルを下げていく。一瞬ピンクだった空が、じわっと薄紫になる。

ピンクはまだまし。もっと赤が強いシーンがあって、どこかで天空で火事がおこっているみたいだった。赤のレベルを落とすと、ほとんどホリゾントには色がでなくなった。じつは、それがとても良かった。

そういえば、現存する調光データは、できるだけ色をつけてくれ、という舞台総監督の指示にしたがったように思う。照明器具に入れるカラーフィルターの指定されたっけ。それでも全体に淡い色に徹した。照明監督としてまったく自由に調光できたのは、聖劇がおわったあとに続くクリスマスキャロルのシーンだったように思う。

監督の指示で色をつくるのではなく、監督が演出したい内容に合わせて光を創りだす。そういう意味では保存されているデータはそれをなしとげたのかもしれない。しかし、今見ると、見るに耐えないシーンも多い。

つくりなおすとしたら、極力色を抜きたい。弟が褒めていた光で、「天使のくれた時間」のジャックが子どもたちとの別れを惜しんで、寝ている子どもたちを観に行くシーン。ああいう光を演出したい。(そういえば、これ去年の学生にも言ったっけ)

今回、舞台袖からの照明からゼラチンを抜いた。生で当ててみたかったのだ。調光加減を再考する必要があるが、これが結構よかった。来年はあまり色を多用せずに、全体に暗くしたい。「キリストの光」は暗闇でこそ光り輝く。



木 - 12 月 14, 2006   01:37 午前