クリスマスカンタータ


大学恒例のクリスマスイベント。オーケストラ・合唱が演奏するカンタータに合わせて、キリスト降誕を祝う聖劇を上演する。今年は初めて学生が照明助監督としてステージの色づくりに挑戦した。どんな照明効果か楽しみだった。

学生の照明効果は、できるだけ自然な光を演出しているようで、抜群の効果を出していた。全体に光量を抑え気味、彩度は淡いが暖かみのある光で全体を構成し、キリスト降誕物語にふさわしい内容だった。

しかし残念だったのは、まだあと数分残っていた公演中だったにもかかわらず、照明スタッフ以外の誰かが勝手に会場の照明を点灯させたことだ(会場灯のスイッチは調光室以外に舞台袖にもある!)。あわてて調光室側で消灯したが、演出としてコーラス隊が退場した出口が開きっぱなしだったこともあって、観客はどんどん客席を立ち、退出しはじめた。急いで出口を閉めに走った。おかげで最後のステージの照明効果をじっくり観れなかったばかりか、暗闇の中で仄かな光に照らし出される赤子のキリストというイメージが台無しになったことだ。最悪。

照明助監督の学生は、前日深夜までかかって調光作業をおこなったが、それでもまだ満足せずに、本番中も微妙に調光しながら場面をつくった。観ている方は気づかないかいもしれないが、ホリゾントの色が少しずつ変化していた場面もあったのだ。場面にふさわしい光を懸命につくりだそうとしている姿が健気だった。それだけに、最後の最後で演出を台無しにされたのがくやしい。

クリスマスカンタータという行事は、オーケストラ、合唱、ソリスト、ハンドベル、聖劇のキャスト、手話、ナレーションなどの出演者と、舞台、衣装、電気、照明、音響、広報、会場案内その他の裏方スタッフと、あわせて200名以上が参加する大きな行事だ。毎年異なる学生たちが、それぞれバラバラに練習し準備してきて、本番2日前にはじめて合同練習(ゲネプロ)をするのだが、例年見事に仕上がっていくのが不思議な伝統行事だ。各チーフが阿吽の呼吸で指示をだすからだ。たとえゲネプロ中に演出に変化があっても即座に対応できるというのが伝統の強みだった。

ゲネプロのあとは、本番直前のリハーサルだけしか合同練習はない。ゲネプロで変更した内容の確認は本番直前のリハーサルだけ。とはいうものの、本番前に通し練習を2回していることになるので、本番がどういうものかは、初めて参加する人でも充分理解できて本番を迎えるハズだった。その2回の通し練習をちゃんと確認していない誰かが、会場の照明を点灯したということだ。裏方として働いていて、その作業を台無しにされて、とても気分が悪い。


水 - 12 月 14, 2005   10:57 午後