宇宙飛行士候補者最終選抜試験


めずらしく漢字ばっかりのタイトル。昨日のNHKスペシャルは「宇宙飛行士はこうして生まれた ~密着・最終選抜試験」。先日、宇宙機構によって宇宙飛行士候補者が2名選ばれたが、その最終選考の様子を密着取材を放映していた。宇宙飛行士試験にカメラが入るのは初めてことだそうだ。

最終選考に残ったのは大西卓也さん(33)と油井亀美也さん(39)だということは既にニュース報道されているので、誰もが知っているところ。どうして最終的にこの二人になったのか、この番組を通して知りたいと誰もが思うだろう。

しかし、密着していたのは必ずしもこの二人ではない。むしろ選考に漏れた人の様子をたっぷり描いていた。

選抜試験の内容は、これまでマンガや映画やアニメなどで見てきたSFの世界そのもの。まるでSF映画をみているかのようだ。現実にそれらと同等の試験を受けている人たちの映像を目の当たりにして、SFの世界はもうSFではなくて現実であることを再認識した。

宇宙飛行士になるための適性がかなりシビアなところに設定されている。並みの人間ではこららをクリアするのはとても難しい。しかし審査員達が見極めているのは、能力というより適性。ナレーションによる解説は、どこでどのようなミスをして、それがどのように判断さえるのか説明していた。番組でピックアップされた映像がすべての判断材料ではないものの、適性判断がどのように下されているかはよくわかった。

ここで設定されている条件をクリアできそうな人は周囲を見渡してもなかなかいるものではない。

番組で印象的だったのは、チャレンジャー号爆発事故(1986年、あの映像は忘れられない)で夫を失ったオニヅカ夫人の話だった。夫人は、わずかな人しかなることができない宇宙飛行士の家族であることを、今でも誇りに思っている。良人を失った悲しみは大きいが、宇宙飛行士の任務そのものが、その後も家族を励まし続けているという。宇宙飛行士であることの影響力は計り知れない。

もう一つは、高校のときにスペースシャトルの映像をみて、そのビデオの内容をすべてノートに書き写した人物。それが宇宙飛行士になりたいという想いの原点だったこと。久しく忘れかけていた子どもの頃の夢を思い出す。いや、子どもの頃に夢をいだいていただろうか。純真に子供心になりたかったものって何? と自問する。

幼稚園のときのお誕生会のカードには、先生の字で「飛行機の運転手になりたい」と書いてあった。当時、伊丹に住んでいて毎日のように頭上の飛行機を眺めていた。そういえば、小学校の頃は、セスナやYS-11は別としても、ボーイング727とかDC-8とかは形だけでなく音で機種を聴き分けていた。ほんとうになりたかったのかもしれない。

夢が叶うことがないのは諦めるからだ。諦めないことの大切さ、夢に向かって努力することの楽しさを改めて感じた番組だった。

日本人宇宙飛行士候補者として選ばれた二人は、これからNASAで2年間の訓練を受け、それでようやく宇宙飛行士になれる。まだ宇宙への道のりは遠い。


月 - 3 月 9, 2009   11:33 午後