M1グランプリ(2)テレビ番組の公正明大さ


これもたまたま久しぶりに覗いたきっこのブログ「真のM1チャンピオンは?」 では、きっこの周囲でM1グランプリの結果を疑問視する声が多かったとしている。ノンスタイルよりオードリーのほうが面白かったという意見が多く、優勝は最初から所属事務所の関係で決まっていたのではないか、という。

かつて姉歯事件の真相に迫ったり、いまも公権力の横暴を告発したりしているきっこのブログとしては、世の不正に対して敏感に反応しているということだろう。

しかし、私は、決勝戦だけをみたらノンスタイルが優勝して当然と思ったので、それを疑問に思うのは、きっこの周囲の人と笑いのツボが異なるのかもしれない。

きっこのブログではさっそくアンケートをとっていた。さすがに超人気ブログだけあって15時間ほどで5000票も集まったそうだ。記事のタイトルからして、きっことしては、疑問視を支持する意見が多いと予測していたのだろうが、集計結果(M1グランプリの謎) はオードリーとノンスタイルが拮抗したものの、わずかだがノンスタイルのほうが人気があった。

周囲の意見とアンケート結果がズレたことに関して、読者のコメントを紹介しながら、笑いの感性の関西と関東の違いなどにも触れて分析している。不発に終わった告発を、素直に引き下げるところがエラい。普通、挙げた手をどうやって下ろすかは、難しいところ。それでも「謎」としているあたり、未練たっぷりという感じだ。

まあ、不正があったとしてもこのバラエティ番組に関して、そこまでムキになる必要もないだろう。

審査員もほとんど吉本の芸人だし、吉本的笑いの評価が高くなるのは必然だろうし、審査基準もないし、そこに恣意的な採点があったとしても、それはこの番組の主旨と解釈していいのではないだろうか。中田カウスが「毎回2位の子もつくっとらんとあかんし」と発言してたし、紳助や上沼恵美子がノンスタイルを個人的にはダントツだったと公言していることからも、審査員といえども厳密に客観的評価をしなくてもいいということだ。そもそも私もM1グランプがどれほどのものか知らないが、要は吉本主催のお祭りなんだろう。そういう主旨の番組だと理解すればいい。

それでも、エンタの神様(数年見ていないが…)より面白かった。漫才しようとしている。審査員も、漫才かどうかで判断しているように思う。

審査の公正さという点では、昔はNHKが漫才コンテストをやっていたように思うが、NHKだけあって、そのほうがよっぽど公正さが求められ、もし不正があるとして告発するならこちらほうではないだろうか。ダウンタウンがそれで賞をとったと記憶している。ダウンタウンの漫才はほんとうに面白かった。まともな漫才はダウンタウンがまじめに漫才やってた頃で終わったような気がする。

(「NHK上方漫才コンテスト」は、現在もまだ開催されているようです。ダウンタウンが優秀賞を獲得した年の最優秀賞はトミーズ。若手漫才に勢いがあった時期。)

トヨタの会長がスポンサーとしてテレビ番組に圧力をかけることができることを公言して憚らなかったが、民放のテレビ番組は所詮そういうものだろう。NHKでさえ政府から圧力がかかっている(慰安婦問題を扱った番組が取材時の説明と異なって放映されたという訴訟。敗訴したけど政治家の意見があったことは事実として残った)。

テレビ番組に公正明大さを要求するのは限度があることを知って、そのうえでテレビを見るべきだ。

公的な審議会メンバーがどのような基準で選ばれているかとか、審議会の審査内容は客観的妥当性があるのかとかは問題だろうが、テレビのバラエティ番組と割り切っていいのでないだろうか。


土 - 12 月 27, 2008   01:15 午後