のだめカンタービレ


マンガをテレビドラマ化したもの。期待してなかったし、あまり見るヒマもないのだが、子どもが録画してでも必ず観てるので、つい一緒にみることもある。これがなかなか面白い。

なんといっても、マンガの世界から抜け出てきたかのような配役。どうしてあんなに似せることができるのか。

マンガとちがって、実際に聞こえる音楽。しかも下手なときは下手風に、ここぞ本番というときは、感動するように演奏している。

昨年、マンガ本が流行ったときに、のだめの音楽を収録したCDが出た。アマゾンのユーザーレビューによると酷評だった。覆面オーケストラによる演奏はあまり上手でなかったようで、クラシックファンからけなされた。そりゃそうだろう、千秋が指揮するオケは聴衆を魅了しなければならないのに、にわか編成のオケでは耳の肥えたクラシックファンを騙すことはできない。もし本当ならクラシック初心者をバカにしている。

テレビでは、結構良い演奏していると思う。ドラマ進行のなかでの音楽なので心理的効果もあるし、CDとちがって視覚効果にも左右される。とはいっても、やっぱり下手な演奏はすぐにわかるが、私が聴いた場面ではそうではない。

学生時代に京響をよく聴きにいった。もちろん学生券。京都会館大一ホールの末席で、音響はよくない。だからというわけではないが、あまり京響の演奏には感動しなかったかもしれない(それでも京響のファンだった)。それよりも京大のオケの定演のほうが感動した。学生オケの魅力は一曲に集中して練習できることだろう。一方プロのオケはどんな曲でも一定水準以上の演奏をしてくれる。そこに魅力がある。しかし京響の演奏に背筋ゾクゾクで感動するのは、シンフォニックホールで小林研一郎が振った炎の第九だった。千秋の指揮は、京大の定演や炎の第九の京響なみの水準を想定したい。

テレビではそこまでは上手くないにしても、なかなか良い演奏だと思う。

さて、昨日。帰宅してひとりで食事をしていると、例によって晃志がのだめを観にやってきた。もう終わりかけだった。ブラームスの一番(結構緊張感ある第一楽章の冒頭)を終えて帰宅した千秋にのだめがプレゼントと称して懐中時計をとりだし、催眠療法を試みた。

食事を終えた私は、台所で片付けをして、冷めたコーヒーを温めなおすために電子レンジのタイマーをセットした。

のだめは千秋の飛行機恐怖症の原因をさぐりあてたので、催眠療法をとくべく、目をつぶっているときのことは全て忘れて目覚めます、と言い残して去っていく。時計が秒を刻んでゼロになった。

ぴーーっ!

絶妙のタイミングで電子レンジの音がした。

ただそれだけのことです。


水 - 12 月 6, 2006   01:07 午前