はじめに
十月で65歳になった、自分は70歳になれば引退せねばと考えていたが、二人の息子達が
今年の初め頃から、いい加減に僕達に経営を任せて欲しい、口を出すなと引退を迫ってきた。
まだまだ元気であるし、自分では充分やる気で居たのに、これは何と言うことなのだ。
とまどいやら、自信喪失などが入り交じって、何ともやりきれない思いでいた。
全面的に経営から離れることは、まだ今の段階では不安だ、子供達は一応現場での工事
施工技術は安心してみていられるが、営業力はまだまだ充分熟達してきたとは思えないし
心配と不安がある。
一方、建設業界は、 「コンクリートから人へ」 と言う政府の政策が打ち出されたお陰で、先き
行きの展望が心もとなくなってきた。
それに対する対応策として、家電製品の販売を始めた。売り上げと収益の減少を食い止める
ためだ、だがその方面の事業は、まだスタートしたばかりだ、まだ見通しがたっていない。
何日か日を重ねてきて、いろいろ多方面からの見方も検討した結果、営業活動以外の
分野は、この際思い切って任せてみよう、口出しはしないようにしよう、という方針にした。
子供達の思いも理解してやらなければならないし、何時までも生きては行けないんだし、
ここら辺が潮時か、という考えもあるし。
案ずるより生むが安し、と言う通り彼らはやる気になってきて、営業にも段々と力を発揮できるよ
うに変わってきた。
新築の工事をさせてもらったお客様から、家電製品の注文も頂けるるようになってきた。
エコポイント制度のお陰で、テレビの受注も数多く頂くなど、家電の売り上げも伸びて来た。
自分は仕事から少しずつ離れてみると、勝手なものですることが無い、朝起きても特に何の
予定もない、一日の歩行数も1,000歩止まりだ、体がなまってきてどうしょうも無い、酒ばかりの
んでいる。
目的を見失った者の行き先は、自然と 「 巡礼の旅 」 にでも出てみようかな、となる。
初めは、四国八十八遍路の旅を計画していたが、関西に住んでいるのに他所に行くのは
順序が違う、先ず足元の西国からまわるのがスジだろう、と思い計画を変更した。
永年獅子舞いのお世話をさせてもらっていたので、神道に関することは幾らか勉強してきた
が、仏教に関しては殆んど知らない、ゼロからのスタートになる。
スタンプラリーに毛の生えたような旅になるだろうが、今一度人生を振り返ってみる意味でも
とにかく始めてみる事にした。
巡礼の歴史と仕掛け人
奈良時代 ( 718年 ) 大和の長谷寺に 「 徳道上人 」 という偉いお坊さんがいました。
ところが上人が病気で仮死状態になったとき、閻魔大王の夢告受け、
「お前は地獄に来るには まだ早い、娑婆に戻って三十三箇所の観音霊場を広めなさい 」
と宝印を授かります。
上人は大王との約束を果そうと、748年頃まで広報活動を始めますが、これがなかなか普及せ
ず、時期が早すぎる、とその三十三個の宝印を宝塚の中山寺の石棺の中に埋めてしまいます。
それから時代が変わって270年後、花山法皇(かざんほうおう)が17歳の若さで第65代目の天皇に即位するも
藤原氏の陰謀もあって、在位2年で出家宣言、退位してしまいます。
花山法皇は、その後那智の滝の上流「二の滝」近くに籠り修行、熊野権現の諭しで、中山寺
から宝印を掘り出し、性空上人・仏眼上人らと共に、西国巡礼再興の旅に熊野を出発、紀伊
泉・河内・山城・丹波・播磨・近江等を巡って、最後に美濃、谷汲山で旅を終えたという。
途中、数々の歌を詠み、これが御詠歌の始まりであり、その和歌を木札に書いて納めたのが
納め札の始まりと言われています。
今、全国には600余りの巡礼地があるそうですが、西国観音霊場は最も早くから始められた
巡礼の先駆け地、と言うことになるそうです。
巡礼の作法
@ お寺に到着したら まず山門で合掌する。
歩行中は参道の中心をさけ、左側を歩行するのがならわし
A 手水場で手を洗い、口をすすいで身を清める
ひしゃくには直接 口は付けない
B 鐘を自由につけるお寺の場合は、観音さまへの挨拶がわりに一回だけ衝く
C 身を整えて本堂へ。線香・灯明をあげます
蝋燭は観音さまの知恵を頂く、線香は徳を頂くものとされています。
D お賽銭をあげる
E 本堂で納め札を納める 住所・氏名を記入する。 写経の方がなお良い
F 鰐口を一回だけ鳴らし、合掌する
グループの場合は代表者が一回鳴らす
G 読経をする ( 経本に従って読諏するが、内容は以下のとおり )
開経 げ 今、ここで観音さまの教えに出会えたことに感謝し、導きに従うことを誓います。
懺悔文 私たちが犯す悪行や罪を反省し、総てを悔いて許してもらう為の言葉
般若心経 仏教の教えの真髄を 276 文字に集約したお経
延命十句観音経 ひたすら観音さまを念じ、その功徳を信じます。
ご本尊真言 サンスクリット語の呪文 3回 となえる
回向文 私も、他の人と共に仏道成仏することを願っています。
H 納経帳に朱印を頂く (300円)
笈鶴 (200円)
笈摺があれば 一緒に印をもらう
I 山門に一礼して退去する
本堂に向かって一礼して山門をあとにする
お参りの服装と持ち物
巡礼の装束の意味は諸説あるようですが、日常生活との区切りをつけ
仏さまの前では総ての人が平等であること、謙虚な気持ちでお参りする
ことを示す意味でも ユニホームとして白装束に身を整えてお参りする
のが良いのではないでしょうか。
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