- 霧海じ(竹冠に虎):(むかいじ)。霧海じの”じ”とは、竹で出来た横笛の一種の意。
普化宗、琴古流尺八古伝本曲の一つ。一説に寄れば法灯国師の弟子の寄竹がこの霧海じと、虚空鈴慕を地方行脚の折り、朝熊山にて仮眠中、湖畔の霧中から聞こえてきた音曲を纏めた曲と言われる。この曲の名付け親は覚心(法燈国師)。ちなみに古伝三曲はこの二曲と嘘鈴(虚礼、嘘霊とも書く場合)の三曲のことを言うが、嘘鈴とは曲ではなくて、虚鐸のことを取り違えて嘘鈴と称したものであると言われる。そもそも虚鐸とは尺八の別称であり、虚鐸で錫杖の響きを模して吹く音を、いつしか曲と取り違えたもの。
- 撫箏雅譜集:(ムソウガフシュウ)琴曲洋峨撫箏雅譜集。宝暦5年安村検校が著した本。
(巻の上)【表組】
菜蕗、梅ガ枝、心尽、天下太平、薄雪、雪の晨、(六段の調)
(中之巻)【裏組】
雲の上、薄衣、桐壺、四季の友、(八段の調子)、(乱輪舌)
【中許目録】
須磨、明石、末の松、空蝉、四季富士、雲井弄斎、(九段の調)、(七段の調)、(五段の調)
(巻の下は以下の通り、巻の上末尾に曲名のみ記載されている)
【三曲目録】
四季の曲、扇の曲、雲井曲
【新組目録】
羽衣、若菜、思ひ川、橘姫、新雲井弄斎
飛燕曲(この曲新組第一の秘曲伝授とある)
三曲の言葉がここでは、単に「三つの曲」という意味で使われている。
歌詞集。歌詞の右に朱書きの譜が所々入っている。(wab尺八備忘帳の蔵書本では墨の手書き本)
- 無住心曲:(ムジュウシンキョク)神如道作曲の尺八独奏曲。作曲とは言わず「生曲」(ショウキョク)と称し、自ずから生まれ出たものであるという。中国大陸、蒋介石主席に捧げる予定であった曲。曲名は金剛経の「應無所住而生其心」より無住則ち無常。