- 樋口対山:本名鈴木孝道。樋口家に婿入りする。西園流を、兼友西園に学ぶ。東福寺内の善彗院には廃宗になった明暗寺の遺物が預けられていたので、後援者を得て明暗寺再興のため明暗34世を名乗る。明暗対山派を築く。(後35世に変更)。弟子に、小林紫山、谷北無竹師。
- 一節切尺八:(ひとよぎりしゃくはち)。一節截、一筒切、一重切とも言う。室町時代に流行した一節の20センチほどの小さい立て笛。一休宗純(通称一休さん)がこよなく愛用した。隆達小唄の伴奏や大森宗勳により使われていました。「伝統古伝尺八覚え書」によれば、この尺八は咸空頓阿弥が作ったとなっている。咸空は、京都の人で、和歌集「新拾遺集」を勅命により編纂。この咸空の作った尺八を柴屋軒宗長(室町時代の人物)が”老人”と言う銘を入れて愛用した。”一節切”が”尺八”の別称と言う説もある。

また異人より人宗佐老人に伝わり(始祖)、その後色々の系譜があり、大森宗勳(中興)に伝わる、と言う説が一節切尺八に関する書籍に多く出ている。
「糸竹古今集」によれば、竹に孔をえぐりて、ものの声を出すこと、唐土にて武帝の臣丘仲、これを作りて声となす。即ち洞簫となずく。日本では天細女命、香山の竹を採りて節間に孔をえりて和気を通したまう。これをその始めとする云々。今は変わりて記す一節切。その長さ1尺8分有るものを黄鐘切と称す。
一節切の音は簫のごとし、指遣いはシチリキに似て、歌口の〆様は横笛に同じ。
もう一つの検証としては、一節切が黄鐘切りとも言われることです。黄鐘(おうしき)は、日本の十二律で言うなら、A(ラ)の音程の管のことです。実際吹いてみると、筒音(全部孔を塞いだときの音)はラの音です。しかし、異国、即ち中国から渡来したとするなら、黄鐘は”こうしょう”(日本読み)”のことであり、D音で無ければおかしいわけです。即ち日本の律名でいうなら、音の高さが同じなら、一越でなければならないわけです。
文字だけをたよりに、中国(あるいは大陸)の黄鐘(こうしょう)のつもりが、黄鐘(おうし)管を作ってしまったのではないでしょうか。とすれば一節切は、日本で独自に作られた笛と言うことになります。
このほか、一節切尺八は、音域の狭い尺八ですので、独奏あるいは単独で演奏する分には問題が無かったにしろ、合奏する場合には、箏や三絃は、一越(黄鐘:こうしょう=D音)を基本に調律されていますから音域がかみ合いません。このために、三曲合奏が盛んになるとともに、一節切(黄鐘=A)から、尺八(一越=D)へと改良が加えれたのだろうとも推測できます。
- 久松風陽:琴古流尺八中興。天明4年(1784)生まれ[塚本虚堂師説]。直参旗本。本名雅五郎。4世黒沢琴古の後見人。四世逐電後、琴古の流儀を伝承。この門下に吉田一調、荒木古童。
- 美風会:-->佐藤晴美の項参照
- 琵琶:琵琶型の楽器。奈良時代前後にに日本に渡来したと言われる。
雅楽や仏教に関わりが強い楽器である。百人一首の蝉丸が盲人として最初に琵琶を弾いたとも言う。
後になって、「平家物語」を盲人による琵琶伴奏によって、伝えられた平家琵琶(平曲)が発生する。
- 夷曲:(ヒナブリ)。古代、雅楽寮で歌舞師が習っていたもので、古くから歌われていた長短の歌の中の優れて美しいものを管弦や、舞に合わせて奏でたものや、日本記の下照比賣(シタテルヒメ)の歌などをいう。
- 一二三鉢返之調:(ヒフミハチガエシニシラベ)古伝尺八曲(一月寺伝)、琴古流本曲。本来は一二三調と言う曲と鉢返の二曲を合わせて演奏するのが普通。一二三調は乙音の単調な曲ではじめの音ならし的な意味合いや音取として、合奏する場合の基本音を示すための前吹きである。鉢返しは門付けなどでお布施を貰ったときのお礼に吹くとも言われている。高音の曲なので虚無僧同士の呼びかけにや真贋確認に使ったとも言われる。
- ピタゴラス音律(日本・中国での三分損益法も似た法)
これは、
a)基本音の完全5度上の音を求める(順八)。
b)このときに求められた音を新たな基準音にして再び完全5度上の音を求め、オクターブ下げる(逆六)。
再び、b)で求められた音を基準に、a)-b)を繰り返すことによって求められる音を1オクターブに並べる。
音程は2:3の周波数比である。
C |
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D |
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E |
F |
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G |
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A |
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B |
C |
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D |
|
E |
F |
|
G |
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2 |
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3 |
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基本音をC音とし、G音を得る |
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3/2 |
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2 |
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3 |
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G音を基準に、D音を得る。オクターブ下げる |
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2 |
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3 |
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D音を基準に、A音を得る |
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3/2 |
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2 |
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3 |
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A音を基準に、E音を得る。オクターブ下げる |
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2 |
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3 |
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E音を基準に、B音を得る |
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3/2 |
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2 |
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3 |
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B音を基準に、F♯音を得る |
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8:9 |
8:9 |
243:256 |
8:9 |
8:9 |
8:9 |
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隣接した音との音程比率 |
この表の上から2段目は、基準の音のと完全5度上の音の振動比、たとえば、C音と完全5度上のG音について、
C:G=2:3 で有ることを表している。
その下の段では、今度はG音を基準に完全5度上の音D音との比を表している。
則ち、G:D=2:3 である。しかし、D音は一番基準のC音の含まれたオクターブに置き換えるために、1オクターブ下げている。
則ち 1オクターブは比が2であるから、オクターブ下げるたのであるから2で割る。
この上記表で、C音を 1 にした場合の音程比
C |
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D |
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E |
F |
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G |
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A |
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B |
C |
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D |
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E |
F |
|
G |
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1 |
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3/2 |
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2 |
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基音をC音とし、G音を得る |
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9/8 |
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3/2 |
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9/4 |
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G音を基準に、D音を得る。オクターブ下げる |
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9/8 |
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27/16 |
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D音を基準に、A音を得る |
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81/64 |
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27/16 |
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81/32 |
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A音を基準に、E音を得る。オクターブ下げる |
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81/64 |
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243/128 |
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E音を基準に、B音を得る |
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729/512 |
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243/128 |
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729/256 |
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B音を基準に、F♯音を得る |
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9/8 |
9/8 |
256/243 |
9/8 |
9/8 |
9/8 |
256/243 |
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隣接する音階との音程比 |
音程は周波数「比」で求めるのであり、「差」ではないことに注目すれば、
C音とG音は C:G=2:3 であるから
G=(3×C)/2
C=1 の時
G=3/2 となる。-----@
次に、G=3/2 の場合の完全5度上のD音は
G:D=2:3
D=(3×G)/2 上記結果@より、
D=(3×3/2)/2 =9/4
オクターブ下げるので、2で割る
D=9/4/2=9/8
以下同様に繰り返す。
上の表より、C-Dの音程はその比を採ればよいから
(9/8)/1
で求められるであろう。
また、D-Eの音程比は
(81/64)/(9/8)=9/8
となり、C-DとD-E とは同じ音程比であることが判る。
同様に計算をすればよいが、詳細は他の専門書を参照されたい。ここではハ調を例にしているが、この長音階全ての音が等しい音程比ではないことに注意が必要である。洋楽の主要3和音を響かせた場合などに不協和音が生じる。
数字は分数のままにしてあるが、計算をすれば端数が出てしまうために分数でおいてある。
隣接音の音程差の数字は、たとえば
A音とB音との比を計算するなら、上記表より
A:B=27/16:243/128
B/A=(243/128)
/ (27/16) これを計算すれば
=9/9 となる。


び