400頭のヤギの死 2011.11.22

ウェブサイト“黙殺の音 低周波音”に Wind farm 'kills Taiwanese goats '090524 という記事があります。 先日、この記事を読んで、このヤギとまさしく同じことが、私にも起こったと思いました。原文は、http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/8060969.stm21 May 2009  UK)です。

 要約しますと 
2005年に台湾、澎湖諸島に風車が設置され、その直後から、ある畜産農家のヤギが死にはじめ、約700頭いたヤギが、やがて250頭ほどに減少した。その原因は、8基の風力発電の騒音である可能性が高い。この地域では他にこのような例はなく、この畜産農家の放牧場が風車から40mの至近距離にあったため、ヤギの大量死は風車の騒音によるものとされている。風車を設置した電力会社は、放牧場の移転費用一部負担を申し出ている。
 ヤギの所有者: 「ヤギは骨と皮にやせこけ、摂食に問題があった。ある夜、畜舎に行くと、全てのヤギが立っている状態で
         眠ってはいなかった。」      
 家畜検査官: 「異常な騒音が家畜の正常な成育と摂餌行動に悪影響を及ぼし、家畜に不眠をもたらした。」

 隣家のエネファームが設置された直後から、私は不眠に陥り、2か月半で体重が激減しました。睡眠時間も一日わずか2,3時間でした。2週間を経て、睡眠薬で4,5時間の睡眠が可能になりましたが、それでも、慢性的な睡眠不足でした。また、もともと痩せ気味の体でしたが、さらに痩せ続けていく体に命の危険さえ感じました。まったく、この台湾のヤギたちと同じ状況だったと思います。

 低周波音は、人口音だけでなく、自然音にもあります。たとえば、地震、津波、雷、風、火山の噴火等です。本来、低周波音は、自然界では天災等の危険を表す音であり、動物はこの音を察知し、危険から逃れろ、遠ざかれという本能により行動します。有名なものでは地震とナマズですが、 2005年、タイで大津波がおこった際に、ゾウや水牛が起こした行動でも顕著です。もちろん、ゾウや水牛は危険を感じているのですから、交感神経が興奮し、心身共に戦闘状態であり、全速力で高台に逃げて行ったそうです。一方、浜辺では多くの観光客が迫りくる危険に気づくことなく、多くの人々が津波の犠牲となりました。

 動物の睡眠や摂食行動時は捕食者にとっては好機ですから、通常、摂食行動が行われるのは、危険のない、安心した状態です。常に低周波音に曝されている間は、私もヤギも交感神経が興奮し、眠れるような状況ではなく、もちろん食事を摂れるような状況でもなかったのでしょう。
 家畜のヤギたちは、野生動物とは異なって逃げ出すことができず、体力が消耗して死に至り、死亡数が次第に増えて初めて問題化し、全世界をめぐるニュースとなりました。私も、自宅のあの環境に居続けて仮に衰弱死したとしても、誰にも関心ももってもらえず、それこそ、ただの一匹のヤギが死んだのと同じ扱いだったでしょう。

 風力発電の被害者は、同じ苦しみを共有する人々がその地域に複数おり、そして、全国的なネットワークが可能ですが、民生用のエコキュートやエネファームでは、被害者が散在し、被害者同志の連携が困難です。 400頭のヤギと同様、エコキュート、エネファーム、あるいはその他低周波音に苦しむ方々が400人集まれば、世の中の低周波音に対する認識を変えていくことができるかもしれないと希望を持っております。

                                                


澎湖諸島は、大小併せて90の島々からなる。人が住む島は19島。総面積は141km²。その海岸線は複雑で、総延長は約300km

 風が強く、「風島」の別称。降水量は少ない。諸島はサンゴからなり、周囲もサンゴ礁で取り囲まれており、山地はなく、平坦な地形。

下図 は風車。八基の風車がある。ヤギ牧場はこの周辺。