「エネファームの低周波音被害について」 豊中市 質疑

20140813



 


































































 神戸市はエネファーム普及推進のため、平成25年度より補助金制度を設け、初年度は総額1000万円(1件につき5万円)、今年度は総額2000万円(1件4万円)と増額を計画しており、3月6日の神戸市予算特別委員会で、公明党向井道尋市議により「エネファーム等低周波音被害」についての質問が行われた(質疑内容は向井市議ブログ、神戸市会議録で公開)。
 そしてこの質疑応答の後、同市議は、同じ会派の山田哲郎市議とともに補助金の募集要綱に注意喚起を記載することを神戸市環境局に求め、その結果、平成26年神戸市家庭用燃料電池システム(エネファーム)設置補助制度のお知らせ」(右図赤枠内)に以下のように明示され、漸く5月29日募集を始めることになった。
「一般家庭においても、空調機、給湯機器、 発電機器などが、低周波音を含む騒音や振動発生源となり、生活環境に影響を及ぼす場合があります。これらの機器を設置する際には、販売業者や設置業者などとよく相談の上、 周辺の住居等への影響を未然に防止するように、十分な配慮をお願いします。」

 先日、「NPO法人STOP低周波音被害」メンバーのブログ
avenger」管理人様から、大阪府豊中市においてもエネファームの
低周波音被害について質疑があったという情報を頂いた。豊中市では5月12日から10月31日までの期間、エネファーム設置補
助金を募集していたが、7月7日に申込が予算額に達したため、受付を停止し、再募集のために補正予算案を委員会に諮り、その際に質疑が行われたようである。以下、環境福祉常任委員会における質疑の要約である。
 


公明党大阪府本部ブログ8月8日より要約
(市議質問)エネファームに低周波音被害があることを知っているか?
(市答弁) 低周波音被害を訴える苦情が発生していることは消費者庁HP等により承知しているが、本市ではこ
     のような苦情はない。
(市議)  本市にはエネファームによる低周波音被害の届出はないそうだが、他の要因による低周波音被害者
      は存在する。エネファームとの関連性が証明された場合、市が何か対策を取ることが出来るのか?
(市)   低周波音について法や条例による基準は無い。発生源が確定した場合でも、法や条例による規制は出
     来ない。本市は、職員が苦情者から聞き取り調査を行い、現地確認の後、必要に応じて低周波音の測
     定などを行っている。低周波音が発生している場合には、「低周波音問題対応の手引書」に基づき、参
     照値との比較により騒音値を評価し、苦情者と発生原因者との話し合いの場をもうけ、自主的な対策を
     講じるよう発生原因者に働きかける、または府の公害審査会を紹介し、調停による解決を求める。低周
     波音について国や大阪府の動向を見極めながら、今後とも問題解決に努めていきたい。
(市議)  低周波音による健康被害は個人差が大きく、また専門医がいるわけでなく診断しづらいので、被害者
      は打つ手な<追い込まれていく。被害者の苦痛は耐えがたいものであると聞く。低周波音が生じてい
     る実態がわかれば、低周波音はあるものとして対策をうつべきではないか。
     エネファーム設置希望者に、低周波音被害を起こす可能性があり、設置にあたっては周辺環境に配慮
     することを知らせるということはできないか?被害の未然防止のため、HP等で、市民の理解を深めるよ
     う啓発・注意喚起するようなことはできないか?事業者に機器の改善を求めることはできないか?
(市)   空調機器や給湯機器等が低周波音を含む騒音や振動の発生源となり、生活環境に影響を及ぼす場
     合があるなど、周辺環境への配慮のお願いをあわせて周知してまいりたい。事業者によると、販売中の
     最新機種では、内部ポンプの防音対策をはじめ、吸音材の貼り付けや夜間停止モードを新たに設定す
     るなどの対策に努めており、今後も引き続き改善を図っていくとのこと。
(市議)  低周波騒音被害があるということを認識され、できうる対策を確実に行うことを強<要望する。
 

 エネファーム購入費用は国からの補助金だけではなく、各自治体からの補助金を併用することができるが、燃料電池普及促進協会(FCA)の自治体助成金一覧によると、今年度の補助金募集件数は現在220件である。FCAの調査時に締切終了されたものは件数に含まれず、実際の件数はそれ以上になるものと思われる。
 前述のように、神戸市では向井・山田両市議の尽力により、エネファームから発生する低周波音被害の可能性や、近隣への配慮に関する記載が募集要項に追加され、豊中市でも今後、市答弁にあるように注意喚起が行われると思われるが、他の自治体でも同様に望みたい。

 燃料電池普及促進協会(FCA)のサイトには、以下のように書かれている。

“将来の水素社会の構築に向けて、平成21年度から世界に先駆けて本格販売が開始された家庭用燃料電池システム「エネファーム」。 水素と酸素から家庭菜園のようにわが家でつかう電気とお湯をわが家でつくる。 快適で豊かなくらしを維持しながら省エネ・CO2削減を実現する。 それが「エネファーム」でスタートする新しいエコライフです。 ・・・“環境にやさしくありたい、というあなたのために 家庭用燃料電池「エネファーム」のあるライフスタイルを国も応援しています。” 
 このような言葉で、高額な機器の購入を決断した人々には、この魅力的な、理想的だと思われる機器が近隣に深刻な被害を及ぼすこともあるとは信じられないだろう。隣家からの苦情は所有者にとって寝耳に水であり、それが感情的なこじれの原因となって、この被害解決の大きな障害となる。だからこそ、販売者はこの機器から低周波音が発生し、被害が出る可能性を認め、消費者に説明すべきである。
 環境にやさしくある前に、まず、近隣住民にやさしくあってほしい。自宅の外観を重視し、隣家の寝室前を機械置き場にするようなことはすべきではない。近隣への配慮を優先し、近隣の住民が被害に苦しむことを避けてほしい。また、事業者や機器所有者は近隣から被害を知らされれば、身構えて反射的に否定するのではなく、近隣住民の立場にたち、被害を理解しようとしてほしい。
 杜撰な測定に基づいて「エネファームから低周波音は出ていない」等と主張したり、あるいは被害に対して「参照値以下であるから、受忍限度内である」などと、近隣住民の健康について勝手な判断をしたりしてはならない。
 神戸市も豊中市も、苦情があれば低周波音を測定すると明言しているが、多くの自治体の環境局は今もなお「民民不介入」という口実で、測定をしようとせず、相談にも応じないという対応をとり、通り一遍の市民相談を紹介するに過ぎない。しかし、国や自治体が補助金制度を設けてまでエネファームの普及を図っているのなら、尚更機器の欠陥には目を光らせ、被害が生ずれば積極的に対応すべきであろう。
 エコキュートを始め、エコウィルやエネファームの低周波音被害はほぼすべて参照値以下で発生する。事業者は「心身に係る苦情に関する参照値」が策定された際の実験の手法や経緯を良く調べ、この「参照値」を低周波音長期曝露による被害に短絡的に結びつける事の不明を恥じるべきだ。「心身に係る苦情に関する」という形容が、参照値策定の実態とは無関係に、国語的意味のみによって恣意的に解釈され、一人歩きしているわけである
 

平成26年度神戸市家庭用燃料電池システム(エネファーム)設置補助制度のお知らせ